サッカーJ3のFC琉球は13日、沖縄県総合運動公園で今季開幕戦を迎える。新チーム発足に伴いユニホームも一新され、左袖にはLGBT(性的少数者)への理解を表すレインボーカラーが取り入れられた。ドイツやスペインのクラブでは導入例があるが、Jリーグでは初の試みとなる。近年、差別的な横断幕掲示などが問題になったサッカー界で、琉球が多様性の尊重をアピールしながらピッチを駆ける。(小笠原大介東京通信員)

左袖にレインボーカラーをデザインした新ユニホームを披露するFC琉球の濱田克大(左)と瀧澤修平=2月12日、なは市民協働プラザ

FC琉球の取り組みを評価する文芸批評家の陣野俊史さん=東京都内

左袖にレインボーカラーをデザインした新ユニホームを披露するFC琉球の濱田克大(左)と瀧澤修平=2月12日、なは市民協働プラザ FC琉球の取り組みを評価する文芸批評家の陣野俊史さん=東京都内

 Jリーグはサポーターによる試合中の差別的な横断幕の掲示やSNS投稿などが問題化したことを受け、人権啓発の研修をクラブに義務付けている。

 琉球は、那覇市が昨年7月に発表した性の多様性を尊重する「レインボーなは宣言」に共鳴。性だけでなく人種や国籍、障がいなどのさまざまな壁を越え、多様性を尊重するとの決意を新ユニホームに込めた。

 「それぞれの違いを認め合うダイバーシティ(多様性)に基づき、新たな発想や価値を提供したい」との発表から約1カ月。サポーターや関係者の反応は「好意的に捉えられている」という。

 「サッカーと人種差別」を著書に持つ文芸批評家でフランス文学者の陣野俊史さんは、「性的少数者がカミングアウトしづらい土壌があるサッカーで、このような取り組みは評価されるべきだ」と強調。「今後、いろいろな意見が出てくる。そこできちんと議論することが大切」と訴えた。

 新生琉球は沖縄や本土だけでなく、韓国やブラジルなど、さまざまな国の選手がそろう。陣野さんは「沖縄は歴史的にも地理的にも、多様性に理解がある。その考えを体現するクラブであってほしい」とエールを送った。

 日本セクシャルマイノリティ協会(東京都)は婚姻や法律相談など、LGBT当事者と社会や企業の懸け橋になろうと首都圏を中心に活動している。理事の吉美さんは「渋谷区の同性パートナーシップ条例の影響もあり、この1、2年でLGBTへの理解が進んだ」とした上で、今回の琉球の取り組みを「素晴らしい。関連団体ではなく、スポーツチームが発信する意義は大きい」と評価する。さらに「1人でも多くの人に、まずレインボーカラーを気に留めて知ってもらうことがLGBT理解への一歩となる。それは、当事者の安心にもつながる」と期待を寄せている。