沖縄県八重瀬伝統獅子舞芸能団が13日、八重瀬町当銘の特別養護老人ホームときわ苑で出張公演をした。ベトナムの国際芸能祭「フエ・フェスティバル2018」に出演して帰ったばかり。ゆかり深い地元の芸能を見ようにも気軽に行けないお年寄り約80人を喜ばせ、錦を飾った。(南部報道部・堀川幸太郎)

舞台を降り、お年寄りたちが元気で過ごせるように舞う八重瀬町友寄の獅子舞=13日、同町当銘の「ときわ苑」

県八重瀬伝統獅子舞芸能団の慰問公演で、お年寄りに交じってカチャーシーを舞うメンバー

舞台を降り、お年寄りたちが元気で過ごせるように舞う八重瀬町友寄の獅子舞=13日、同町当銘の「ときわ苑」
県八重瀬伝統獅子舞芸能団の慰問公演で、お年寄りに交じってカチャーシーを舞うメンバー

 かぎやで風に乗せた町友寄の棒術「舞方」で幕開け。舞踊「花笠」「鳩間節」や力強い群舞「志多伯の汗水節」などで盛り上げた。同じ棒術でも間合いの読み合いに緊迫感漂う町小城、流麗な町志多伯と、異なる持ち味で民俗芸能の多彩な町らしさを見せた。

 幼子をあやす身ぶりの「赤田首里殿内」や「娘ジントヨー」などの島唄(うた)は、お年寄りも歌った。8演目のトリは町友寄の獅子舞。舞台を降りて長寿を願い、最後はカチャーシーで笑顔を広げた。涙ぐむ顔もあった。

 ベトナムと八重瀬と場が変わっても舞台を楽しむ表情は同じで、土地に根差した民俗芸能の底力を示した。

 違うのは2点。一つは演じ手に今回、海を渡っていない人も加えたこと。ベトナムで棒術「舞方」を演じた友寄獅子舞棒術保存会の神里肇さん(43)は「若手に譲らないと」と客席の準備を手伝い、見守った。実演家として舞台を通じ、経験を吸収してほしいと願う。

 もう一つは演じ手の祖父母らがいたことだ。金城マサさん(96)は、会場の隣集落で小城棒術保存会の澤岻泰彰さん(46)の祖母。「大変楽しかった。なんで、ひげも伸びてる」と“成長”を喜ぶ。競演した同保存会の仲座照幸さん(41)の祖父・清次郎さん(93)は、土産話代わりの演舞を時折、うなずきながら見届けた。

 志多伯獅子舞棒術保存会の神谷尚希さん(41)の祖母・ミヨ子さん(89)は「もう病気にならない。ぬちぐすい。また来年」と満面の笑みで孫の手を取った。

 ベトナム行きを機にできた芸能団。今後も一緒に公演し、それぞれの伝統を守る考えだ。