県政の行方を大きく左右する二つの出来事が刻一刻と迫っている。

 一つは、秋に予定されている県知事選挙。もう一つは、名護市辺野古の新基地建設に向けこの夏に想定されている埋め立て用土砂の投入。

 新基地建設に反対する翁長雄志知事は再三、埋め立て承認の撤回を「必ずやる」と明言してきた。どのような根拠に基づいて、どういうタイミングで撤回を打ち出すか。

 時間は待ってくれない。体調の回復を図りつつ、早急に、県庁内部や県政与党との調整を急ぐ必要がある。

 仲井真弘多前知事は2012年2月、環境影響評価書で示された環境保全措置について「生活環境及び自然環境の保全を図ることは不可能」だとの知事意見をまとめた。  評価書はその後、沖縄防衛局によって補正され、補正評価書が県に提出された。だが、それによって懸念が解消されたわけではない。

 前知事は埋め立て承認の際、その条件として「留意事項」を付しているが、工事が進むにつれて「留意事項」に反する疑いのある行為が次々に明らかになっている。

 県の事前協議申し入れや工事中止の行政指導には聞く耳を持たず、説明責任も情報公開も不十分だ。

 このような状態で埋め立てが強行されれば、評価書の知事意見にあるように「生活環境及び自然環境の保全を図ることは不可能」である。

 既成事実を作り上げるため強引な工事が日々続いていることを考えれば、撤回の時機を逸しないことが大切だ。

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 辺野古・大浦湾はジュゴンやサンゴ群集、海草藻場などに象徴されるように、非常に多くの種類の生物が生息する生物多様性の高い海である。 県が同海域を「厳正な自然環境を図る区域」と位置づけ、自然環境保全指針ランク1と評価したのは、次世代に引き継ぐべき貴重な自然遺産だと認めたからだ。

 米軍基地が集中する沖縄で、貴重な海を埋め立て、住民の反対を押し切って、オスプレイが常駐する基地を新設する-多くの県民にとってこの計画は、肉体を傷つけられるような、痛みの感覚を伴う理不尽な押しつけ、だといっていい。

 禁じ手を強行しようとすれば、環境保全策がおざなりにならざるをえない。実際、岩礁破砕許可やサンゴ類の特別採捕許可の問題、石材の海上搬送、海底の軟弱地盤、活断層が存在するのでないかとの疑い、新基地周辺の高度制限を巡る二重基準など、問題点を挙げたらきりがない。

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 国際自然保護連合(IUCN)はなぜ、ジュゴン保護やノグチゲラ、ヤンバルクイナの保護などを、過去複数回にわたって、日米両政府に勧告したのか。

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関であるIUCNはなぜ、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」の世界自然遺産登録に関して、「登録延期」を勧告したのか。

 IUCNの勧告の意味を、沖縄の望ましい将来像と重ね合わせて考えたい。