世にさまざまな職業が存在するが、それぞれの職業に定着した思い込みから逃れることは、想像以上に困難だ。

「蚤とり侍」

 老中・田沼意次の規制緩和により、金になれば何でもありの風潮がまん延していた江戸の世。長岡藩の出世コースまい進中の小林寛之進はささいなことで藩主の機嫌を損ね、“のみとり”として左遷されてしまう。

 ネコの「のみとり業」は実際にあった職業だという。映画の中で“のみとり”は表向きで、実態は女性たちに愛のご奉仕をする仕事だというから面白い。剣術の腕も、学問も全て役に立たない中、試されるのは身体だけではない、心に寄り添えるワザ。

 底辺の仕事とバカにされながら、持ち前の生真面目さで切磋琢磨(せっさたくま)する寛之進に、泣き笑いをしながら“仕事”を学ぶ。(スターシアターズ・榮慶子)

◇シネマQとライカムできょうから上映予定