名護市辺野古への新基地建設をめぐり、前知事の埋め立て承認を取り消した翁長雄志知事は14日、国の第三者機関「国地方係争処理委員会」に審査を申し出た。翁長知事の承認取り消しに対し、国が是正指示を出し、これに県が不服として申し出たものだ。

 福岡高裁那覇支部で成立した県と国の和解条項に基づく手続きの一環である。

 係争委は、国の是正指示が適法かどうかを90日以内に判断する。係争委で県、国いずれに有利な決定が出たとしても、再び訴訟に持ち込まれるのは間違いない。

 ただ、国の是正指示の文書には肝心の指示理由が記載されていない。翁長知事が14日の記者会見で明らかにしたもので、地方自治法249条には「是正の要求等の内容及び理由を記載した書面を交付しなければならない」とある。地方自治法に反していることは明らかだ。

 地方自治法の手続きをすっ飛ばしていきなり最終手段の代執行訴訟を提起した手法もそうだったが、国は地方公共団体と対等・協力の関係になったことを無視し、地方自治法の精神をないがしろにしていると言わざるを得ない。

 県が係争委に申し出るのは2度目である。係争委は前回、県の申し出を審査対象とせず、門前払いにした。

 辺野古新基地をめぐる県と国の争いという重要性にもかかわらず、係争委は、どういう議論がなされたかほとんど明らかにしなかった。今回は議論を公開し、透明性を高めることを強く求めたい。

■    ■

 県はまず、国が是正指示を求めた文書に不備があるとして取り消しを求める。国が是正指示の理由を追加することを係争委が認めれば、翁長知事による承認取り消しが適法である、と正当性を主張していく方針だ。

 翁長知事は2015年10月、県の第三者委員会の検証報告書に基づき前知事による辺野古埋め立て承認は「法的な瑕疵(かし)がある」として承認を取り消した。

 公有水面埋立法の要件を満たしていないということだ。辺野古に新基地を建設しなければならない必要性が認められず、建設されれば沖縄の過重な基地負担が固定化される。自然環境や野生生物への影響、オスプレイなど航空機騒音や低周波音に対し、保全措置が適正でないか、明らかでないこと-などを理由として挙げた。

 係争委には「実質審理」に踏み込んでもらいたい。

■    ■

 和解条項は、法的手続きを進める一方で、県と政府の協議の2本立てである。協議の場となる「政府・沖縄県協議会」が23日に開催されることがやっと決まった。普天間の5年以内運用停止などが議題に上る。安倍晋三首相の約束であり、反故(ほご)は許されない。

 県と政府の昨年夏の不毛な集中協議は、安保関連法などを成立させるための政府の時間稼ぎだった。和解合意も6月の県議選、夏の参院選を有利に進める狙いがあるとみられる。政府は県との協議をどうとらえ、どう臨むつもりなのか。協議に入る前に姿勢をはっきりさせるべきだ。