一般住宅に有料で旅行者を泊める「民泊」の解禁まで1カ月を切った。

 ここへきて目立っているのは、営業日数や区域を制限する自治体独自の規制強化である。

 生活環境の悪化といった地域住民の不安を払拭(ふっしょく)することなく、新たな宿泊スタイルを定着させることは難しそうだ。

 6月15日施行の住宅宿泊事業法(民泊新法)は、都道府県と政令指定都市、中核市などに、条例で民泊営業を規制することを認めている。

 観光庁などの集計によると3月時点で、対象となる全国150自治体のうち、52自治体が規制条例を制定あるいは制定予定、24自治体が対応を検討するなど、独自ルールづくりが進んでいる。

 現行の民泊は、旅館業法に基づく簡易宿所の許可や国家戦略特区の認定などを必要としているが、新法では家主が都道府県などへ届ければ、年間180日までの営業が可能になる。

 日本を訪れる外国人旅行者が増える中、旅館業法や特区制度よりも規制が緩やかな新法で、提供できる受け皿を増やしていこうというのが国の狙いだ。

 しかし既に条例が成立した東京都大田区などは住居専用地域での民泊を全面禁止にしている。京都市は観光閑散期の2カ月間に制限。営業できる期間や区域など厳しい規制になっている。

 自治体で条例制定の動きが広がるのは、住民生活への影響が見通せないからだ。

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 那覇市議会は今月9日の臨時議会本会議で、新法に上乗せし、県条例よりも規制の範囲を広げた条例を可決した。

 住居専用地域や学校周辺、文教地区では、ほぼ平日の営業を禁止。第1種住居地域でも、家主や常駐の管理人がいない場合は同様の制限を設けている。これにより営業できるのは年間110~120日ほどとなる。

 新法施行に向けて市が実施した調査で、全体の8割を超える522件がヤミ民泊だったことが明らかになっている。 

 市議会が付帯決議で「騒音、迷惑駐車、ごみ出し問題の発生を未然に防ぐ仕組みの構築」を求めたのは、住民の安全と静穏な環境を守ることを優先させたためだ。

 新しい宿泊形態を望む旅行者にとって、民泊は魅力的な受け皿の一つである。宿泊の選択肢としてきちんと育てていくためにも、これらルールを守らせ、住民理解につなげるべきだ。

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 規制条例のほか、分譲マンションの8割以上で民泊禁止が決議されていることからも分かるように、新しい宿泊形態への懸念は根強い。この間の行政のヤミ民泊対策が後手に回ったことが大きく影響している。

 新法は自治体への届け出制で、家主には民泊と分かる標識の掲示や宿泊者名簿の作成を義務付けている。

 無届け営業が放置されることがないよう、住民からの情報を広く受け付け、ネット上での監視を強め、ヤミ民泊根絶に努めてもらいたい。