プロの作家とは、こんな土壇場まで作品を直すのか。浦添市にある国立劇場おきなわ資料展示室に並んだ大城立裕氏のノートや台本に興味をかき立てられた

▼中国福建省でも上演され話題になった「さらば福州琉球館」の台本には、冒頭約2ページを削除する指示があり、直前まで脚本と格闘した様子が分かる。出演者たちの当惑は想像に難くない

▼紹介される時には芥川賞作家という冠が付く大城氏だが、実は舞台との関わりの方が長い。1947年に初めて書いた作品は、沖縄民政府の懸賞に応募して入賞した「明雲」という戯曲。戦時中に信じていた原理と、戦後の現実との葛藤を表現するには戯曲で使われる対話の形式が最適だったという

▼演劇仲間の勉強会では「沖縄とはなにか」という問いを立てた。芥川賞受賞作「カクテル・パーティー」は後半で「お前は」という主語を使って読者を作品との対話に誘(いざな)い、沖縄の状況を考えさせる仕掛けがある

▼国立劇場おきなわのこけら落とし演目の一つ「真珠道(まだまみち)」などの多彩な新作組踊では、伝統様式の中で現代の観客を感動させるには何が必要かとの課題を提示した

▼触発された若手による舞台作品も相次いだ。沖縄の歴史や文化を、文学や演劇でどう伝えるかを追求し続ける大城氏。23日午後には、同劇場での公開講座「大城立裕の世界」に登壇する。(玉城淳)