菅義偉官房長官が19、20日の2日間の沖縄訪問を終え、帰京した。主目的は、米軍キャンプ・キンザーの一部返還式典への出席だが、菅氏は経済界や市町村長らとも積極的に面会した。自民党関係者は、今秋実施予定の知事選を念頭に、基地負担軽減と、選挙を戦う「態勢づくり」を兼ねた戦略的な来県だったと分析する。(政経部・大野亨恭、銘苅一哲、東京報道部・上地一姫)

自民党県連との会合で、出迎えた照屋守之副会長(左)らと握手を交わす菅義偉官房長官(同2人目)=19日、ANAクラウンプラザホテル沖縄ハーバービュー

「長官案件」

 「今回の返還、引き渡しは基地負担軽減が目に見える形で実現した。大きな成果で意義深い」。返還式典後、菅氏は開口一番に記者団に語った。

 特にキンザーの国道58号側の3・4ヘクタールの返還は、菅氏が官房長官と兼務する基地負担軽減担当相として強く事務方に指示を出し、2015年に当時のケネディー在日米大使と前倒し返還を発表した「長官案件」(防衛省幹部)だ。

 ただ、キンザーの一部返還も、今回の式典で兼ねた西普天間住宅地区の地権者引き渡しも今年3月末で手続きを終えており、式典開催時期とは若干のずれがある。政府関係者は「国道58号、西普天間ともまさに多くの県民の目に見える返還。知事選に近い時期でアピールしたほうが得策という思いはある」と解説する。

態勢づくり

 「11月の知事選もよろしくお願いします」。19日、那覇市内のホテルでの会合で自民党県連幹部が発言すると、菅氏は「しっかり勝ちましょう」と応じた。

 自民幹部は菅氏来県の「裏ミッション」は知事選の態勢づくりだと明かす。

 4年前の知事選で翁長雄志氏に大敗した政府、自民にとり、県政奪還は悲願だ。政府関係者は「今回の知事選は死ぬ気でやる、吐きながらでもやる選挙だ」と力を込める。今年は10年ぶりに衆参などの大型選挙がない「沖縄イヤー」で、知事選は総仕上げだ。

 政府高官は2月の名護市長選で辺野古新基地建設に反対する現職を抑え勝ち取った自民、公明、維新の枠組みを「勝利の方程式」と表現。知事選でも3党枠組みを大前提に位置付ける。

「力はぎ取る」

 知事選勝利に向け政権幹部が注目するのは「オール沖縄」勢力の足並みの乱れだ。オール沖縄会議から経済界主軸の金秀、かりゆしグループが抜け、4年前に翁長知事誕生の裏方を仕切った安慶田光男副知事も辞任し、距離を置く。

 そんな中、菅氏は沖縄での最後の日程で安慶田氏が集めたメンバーとの会合に参加した。場所はかりゆしが経営するホテルで、県政与党の会派おきなわのメンバーの姿もあった。

 自民幹部は、菅氏の動きをこう分析する。「オール沖縄から離れる可能性のある勢力を引き寄せるのが狙い。何が何でも勝たないといけない選挙で、オール沖縄の力をはぎ取るためだ」