米兵による卑劣な事件がまた起きた。

 那覇市内のホテルで、県外から観光に訪れていた成人女性に暴行したとして、米軍キャンプ・シュワブ所属の海軍1等水兵の男(24)が13日、準強姦(ごうかん)の容疑で逮捕された。

 警察の調べによると、容疑者の米兵は、被害女性と同じホテルにチェックインしていた。市内のバーなどで飲酒した後、ホテルで女性を襲ったという。

 「綱紀粛正」「再発防止」。事件のたびに繰り返される掛け声は、また空回りした。

 本島中北部の基地に所属する米兵による酒がらみの事件が、那覇市内で頻発している。昨年は、5月から6月にかけての8日間で7人の米兵が強盗致傷や酒気帯び運転容疑などで逮捕されるなど「異常事態」となった。

 飲酒運転を防ぐために、酒を飲んだ後のホテルや運転代行利用が奨励され、事件は収まったかのように見えたが、それが別の犯罪を誘発したとすればとんでもないことだ。

 米兵らが、中北部から那覇に足を運ぶのも、憲兵や上官らがパトロールする基地周辺市町村を避けてのことで、「監視の目が緩い」といった意識からだという。規律教育が徹底されていないことを物語っている。

 米軍は2014年12月、軍構成員の勤務時間外行動指針(リバティー制度)を大幅に緩和した。兵士らの意識が改善されたというのがその理由だが、県警によると、緩和後に飲酒運転の摘発件数は4割増えている。繰り返される事件・事故をみると県民の怒りが伝わっているとはとても考えられない。

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 今回の事件では、安心・安全な場であるべきホテルで、沖縄を旅先に訪れた観光客が性暴力の被害に遭った。女性の尊厳を踏みにじる蛮行であり、強い憤りを覚える。

 同時に、事件によって沖縄観光のイメージダウンにつながらないか懸念も募る。

 「米軍基地の集中する沖縄は危険だ」。こうした風評が広がり、基幹産業である観光が打撃を受けた経験が過去にある。01年の米同時多発テロ後、修学旅行を中心に団体旅行のキャンセルが相次ぎ、沖縄観光は基地あるが故のリスクに揺れた。

 米軍基地の存在は、観光立県・沖縄にとって明らかな阻害要因だ。当時、風評被害に苦しみ、大変な努力の末に現在の好調な状況まで盛り返した県内の観光関係者の共通する認識である。

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 翁長雄志知事は「女性の人権を蹂躙(じゅうりん)する重大な犯罪」と厳しく批判し、県と基地所在26市町村でつくる県軍用地転用促進・基地問題協議会(軍転協)も米軍に抗議した。那覇市議会が抗議決議を予定し、県議会や名護市議会などでも動きがある。「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」は「駐留軍全体の構造的な問題」と軍隊の占領意識と性暴力の関連を指摘し、憤りを示した。

 沖縄の敏感な反応は、基地問題は人権問題との認識に基づくものだ。国も同じ認識に立ち、米軍に実効性ある再発防止策を強く求めてもらいたい。