アメリカンフットボールの反則行為で相手を負傷させた日本大学の選手が22日、記者会見した。監督・コーチから指示があったことを冷静に話し、誰のせいにもせず謝罪した

▼意図的に危険なプレーをした責任がなくなるわけではない。だが20歳の若者が言葉を選びながら語った姿は昨今のあらゆる謝罪や釈明会見の中で、最も誠実さを感じさせた

▼大学側が問題の経緯説明を怠ったため、学生があえて矢面に立った。対応のまずさによって、大学側は最も守りたいはずのブランドイメージを著しく損ねている

▼日大は23日夜、監督とコーチが緊急会見して反則指示をあらためて否定した。相手選手を「つぶせ」という指示は「よく使う言葉」で「思いきり当たれ」だと説明する。なぜこの日に限って選手が「けがをさせろ」の指示だと誤解したのか。疑念は消えない

▼組織の上に立つ人間が下の人間にルール破りを強要し、部下は上の意向を忖度(そんたく)する。事実ははっきりせず、責任は下に押し付ける-。一連の構図が加計・森友問題での安倍政権の姿と重なって見える。偶然の酷似なのか、不誠実な対応に終始する政治家や官僚の影響が社会にまん延し始めているのか

▼「真実を明らかにすることが償いの第一歩」。大人たちは胸に手を当てて、成人したばかりの選手の言葉を刻むべきだ。(田嶋正雄)