文部科学省は18日、来春から全国の高校で使われる教科書(主に1年生用)の検定結果を公表した。改定学習指導要領解説書が尖閣諸島や竹島を「固有の領土」と明記したことに伴い、領土に関する記述は、対応する現行本の約1・6倍に増えた。尖閣については現代社会と日本史、政治・経済、地理の全教科書が取り上げ、「日本が実効支配し、領土問題は存在しない」といった政府の主張を掲載した。沖縄戦「集団自決」については、日本史の計6点中5点に記述がある。各教科書とも現行の表現をそのまま踏襲しており、「軍命による強制」と明記したものはない半面、軍の強い関与が引き続き示された。

検定に合格した高校教科書

 今回の検定では、政府見解の明記などを求めた新検定基準も初めて適用され、日本史Aの2点で計5件の意見が付いた。南京事件で殺害された中国人の数や関東大震災の際に殺害された朝鮮人の数は「人数が定まっていない」と修正された。

 尖閣をめぐっては、「現代社会」全10点のうち8点について、「尖閣諸島に領有権問題があるかのように誤解する」といった検定意見が付き、各社は政府見解を加筆するなどして対応した。

 「中国公船による領海侵犯が頻発」「周辺海域に豊富な海底資源があることが判明すると、中国や台湾も領有権を主張するようになった」といった記述も目立つ。

 沖縄戦「集団自決」については、「軍命によって強制された」と断定的に書くことは認めないとする意見が2006年度の検定で出された。検定意見は現在も撤回されていないものの、現行の教科書の多くが「日本軍によって『集団自決』に追いこまれた」「日本軍による県民の殺害、『集団自決』の強要などの悲劇も起きた」などと実質的に「強制性」が読み取れる記述をしており、今回も踏襲された。検定意見は付かなかった。

 ただ、全国占有率トップの山川出版の日本史Bは、現行本に続いて「集団自決」や住民虐殺に触れなかった。

 影響力の大きい教科書だけに、県内では記述追加を求める動きもある。

 沖縄の基地問題については、2014年の県知事選や衆議院選挙で名護市辺野古移設に反対する候補が当選したことに言及する教科書もあった。

 集団的自衛権行使を一部容認した閣議決定など安倍政権の政策や、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故、主権者教育などの記述も多かった。