むっくりとした黒い体に真っ赤なほっぺ、とぼけた表情の人気者といえば、熊本県のPRキャラクター「くまモン」。県の営業部長の肩書を持っていた

▼熊本県はくまモンをパッケージなどに使った商品の2015年の売り上げが1007億7800万円に達したと発表した。県が認めた業者は無料で使用できる

▼3年前、PR企画をリードし、くまモンの育て親といわれた熊本県東京事務所長(当時)の佐伯和典氏の話を聞く機会があった。くまモン誕生は11年の九州新幹線全線開通がきっかけだった

▼大阪と鹿児島が結ばれる中、熊本が素通りされる強い危機感があったという。埋没を防ぐための「くまもとサプライズ」プロジェクトでくまモンが生まれた

▼地元よりも大阪での知名度アップに力を入れ、甲子園や通天閣、吉本新喜劇など神出鬼没の作戦が地元メディアに取り上げられ、全国区のゆるキャラにつながる。県スタッフの企画会社任せにしない姿勢と遊び心あふれる仕掛けが人気の秘訣(ひけつ)。昨年はダイエット失敗で営業部長代理に降格され、話題になった

▼同じゆるキャラでも改名の憂き目に遭ったのは民主党公認マスコット「民主くん」。民進党結成後に「進(すすむ)くん」と名前を変える方向だ。“失業”は免れたものの新党の行く末とともに前途多難な活動になりそうだ。(与那原良彦)