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  • 久米島沖の海洋深層水を使ったカキの陸上養殖が4月から本格化
  • 稚貝からの育成に成功。量産化に向け産卵・受精施設などを増設する
  • 安全なカキを通年で供給する体制を作り、国内外の市場を狙う

 首都圏を中心にオイスターバーを展開するヒューマンウェブ(東京、吉田琇則(ひでのり)社長)は4月以降、久米島沖の海洋深層水を使ったカキの陸上養殖を本格化させる。既存の研究施設に加え、産卵・育成施設を整備。ほとんど雑菌がないとされる海洋深層水で安全なカキを生産、来春の出荷を目指す。通年での供給体制を構築し、ブランド化。自社店舗や国内市場、那覇空港の国際物流ハブで輸出にも取り組む考えだ。世界的にもカキの陸上養殖による量産化は例がないという。

陸上養殖したカキを手にするヒューマンウェブの研究担当・佐藤圭一さん=久米島町、同社の沖縄久米島研究所

久米島沖の海洋深層水を使って育てたカキ

陸上養殖したカキを手にするヒューマンウェブの研究担当・佐藤圭一さん=久米島町、同社の沖縄久米島研究所 久米島沖の海洋深層水を使って育てたカキ

 同社は2012年、久米島町に研究施設を設置した。海洋深層水や温暖な気候を生かし、エサとなる植物プランクトンを生産。約1ミリの稚貝を9カ月で出荷可能な約10センチの成貝にすることに成功し、量産化に向け産卵・受精施設、稚貝の育成施設の増設(計6千平方メートル)を決めた。

 06年にノロウイルスが流行したことを受けて、風評被害でカキの消費が低迷。同社も業績が悪化し、安全性を高めるため、産地から仕入れたカキの浄化施設を広島県や富山県に整備してきた。さらに安全性を追求する中で、細菌やウイルス感染の可能性が極めて低い海洋深層水に着目。「あたらないカキ」を目指し、完全陸上養殖の試験に取り組んできた。

 同町内で18日、起工式があった。新施設では作業の自動化を図り、ニュージーランドから養殖の専門スタッフを雇う。5年以内に数十万個の出荷が目標。海洋深層水の取水量の増加を前提に規模拡大を検討し、将来的には年間数百万個の供給を目指すという。

 吉田社長は「久米島で世界初の陸上量産化を実現したい。海洋深層水の特性を生かし、安心・安全なカキを国内外に発信していく」と語った。(政経部・長浜真吾)