水球男子日本代表「ポセイドンジャパン」が今夏のリオデジャネイロ五輪に出場する。1984年のロサンゼルス五輪以来32年ぶりに扉を開けた13人のメンバーの中に、母親が石垣市出身のGK棚村克行(26)=ブルボンKZ=がいる。「生まれたところなので石垣島が好き。島の子どもたちの希望になりたい」と活躍を誓う。(粟国祥輔)

水球日本代表の守護神、棚村克行(ブルボンKZ提供)

素早い反応でゴールを守る棚村克行(ブルボンKZ提供)

水球日本代表の守護神、棚村克行(ブルボンKZ提供) 素早い反応でゴールを守る棚村克行(ブルボンKZ提供)

 1989年、里帰り出産で母・京子さん(57)の故郷石垣島で生まれた。小学生のころ夏休みは決まって島の祖父母宅で過ごした。社会人になった今も、年1度は必ず訪れているという。

 二つ上の兄・英行(ブルボンKZ)の背中を追って明大中野中で水球を始めた。「『水中の格闘技』と言われる競技に引かれた。強いことに憧れがあった」と話す。

 明大中野中高は全国レベルの水球の強豪で、特に高校は全国総体9度の優勝を誇る。ただ棚村克は高校時代、主力GKでなく、チームも全国総体切符を逃した。

 高校で競技引退も考えたが、早大法学部教授の父・政行さん(62)の「逃げるのか」の一言で競技続行を決意。進学した筑波大で当時、本場の欧州リーグで活躍していた「ミスター水球」こと青柳勧氏との出会いが転機になった。

 臨時コーチの青柳氏に指導を受け、「高いレベルを見たことがなかったので、がぜんやる気が出た」と発奮。大学3年時の2012年、兄とともに日本代表入りを果たした。

 同年のロンドン五輪はアジア予選で敗退した。大学卒業後は、新潟県に本拠地を置く社会人チーム「ブルボンKZ」で腕を磨いた。そして昨年12月のアジア予選。中国との全勝対決を制し、アジア1枠の五輪切符を勝ち取った。

 7対7で争う水球で、最後のとりでを守る守護神の役割は大きい。棚村克は184センチ、82キロの体格を生かした力強いセービングが持ち味だ。アジア予選で日本はゴール前を固めるセオリーの守備を捨て、前に出てパスカットを狙う戦術をとった。GKの守備範囲が広くなる中、棚村克は両手を広げてゴールを守り、勝利に貢献した。

 念願の五輪に向け「兄や32年分の思いを胸に頑張る。ベスト8を目指し、一戦一戦全力を尽くす」と力強く宣言した。