「(高校進学後)勉強ももちろん、学生生活を楽しみたいとよく言ってました」。突然息子を失った事実を受け入れられないのだろう、自殺した広島の男子中学3年生の両親がマスコミに寄せた言葉が痛々しい

▼万引していない生徒を万引したと誤ってデータ保存し2年間放置、廊下の立ち話で進路指導、メモもなく担任の記憶だけで調査報告書を作成…。学校対応に多くの疑問がつきまとう

▼真面目で優しい、明るく友達も多い、きちょうめん、部活動や勉強に一生懸命-両親や友人らが語る彼の印象からは、むしろ万引などできるはずのない人だと分かる

▼担任も感じていたようだ。だが、自殺から約3カ月後に発表された報告書では、間違ったデータを信じ込んだ担任によって全く落ち度のない生徒が短期間のうちに追い詰められていった

▼さらに疑問なのは、触法行為などがあったら高校推薦ができないとする基準を生徒が自殺した後に変更し、万引歴があっても校長推薦を出したことだ。自殺した生徒は万引していないのに推薦できないと言われた。対応の違いはなぜか

▼両親は担任と息子とのやりとりを記載した報告書に疑問を持っている。生徒も「担任に何を言っても聞いてくれない雰囲気」と話していたという。学校側は早急に第三者委員会を設置し、説明責任を果たすべきだ。(玉寄興也)