笑い飛ばすというより、身につまされると言った方がいいかもしれない。会社勤めを20年近くしていると、味わった悲哀は地層のように折り重なる

▼毎年恒例のサラリーマン川柳の上位10句が発表された。入選作100句から選び抜かれた作品はどれも、世相や人の秘めた内面を巧みに描写している

▼今年は、働き方改革やテクノロジーの進歩を反映し、プレミアムフライデーやAIなどが頻繁に登場する。人生100年時代とされる中、健康にまつわる句も多い。第1位に選ばれた「スポーツジム 車で行って チャリをこぐ」もそう。自己矛盾をはらんだ行動に共感が集まった

▼サラリーマン川柳らしさでいえば、社会の変化に悪戦苦闘する自虐ネタ。「電子化に ついて行けずに 紙対応」や「効率化 進めて気づく 俺が無駄」は中高年の肩身の狭さが何ともうら悲しい

▼今どきの後輩との人間関係づくりも悩ましい。「新人に メールで指示して 返事は『りょ』」「ブログ見て 部下の本音を 家で知る」。世代間ギャップはいつの時代も付きものというべきか

▼嘆いてばかりでもない。入選作にはこんな句も見つけた。「父さんの 苦労知ってる 靴の底」。泣かせてくれるじゃないですか。子は親の背中を見て育つ。世のお父さんたちも、まだまだ捨てたもんじゃない。(西江昭吾)