名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ前の沿道を怒りの声が埋め尽くした。

 那覇市内のビジネスホテルで起きた米海軍兵による女性暴行事件で、「米海軍兵による性暴力を許さない緊急抗議集会」(主催・基地の県内移設を許さない県民会議)が21日、容疑者が所属するキャンプ・シュワブゲート前で開かれ、2500人(主催者発表)が集結した。

 「これまで何度も繰り返される米兵による凶悪事件に県民の怒りは頂点に達している」と米兵の蛮行を糾弾。「すべてが基地がある故に起こる事件・事故であり、抜本的対策は米兵の沖縄から撤退と基地の撤去以外にない」などとする決議を採択した。

 事件後、米側は在沖米軍トップのニコルソン四軍調整官とエレンライク在沖米総領事が16日に翁長雄志知事に直接、謝罪した。日本側も14日、水上正史外務省沖縄担当大使、井上一徳沖縄防衛局長が謝罪した。

 沖縄における日米の外務、防衛トップがそれぞれそろって県庁を訪れ、謝罪するのは異例のことだが、早期の幕引きを図りたい政治的思惑が見える。辺野古新基地建設をめぐり、福岡高裁那覇支部が提示した和解合意の柱の一つである「政府・沖縄県協議会」が23日に迫っているからだ。

 ニコルソン氏も「知事や県民の感じている怒り以上に私も怒りを感じている」と話した。本来であれば、人権を蹂躙(じゅうりん)された被害女性に真っ先に謝罪すべきだが、最後までその言葉は出てこなかった。

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 復帰後、米兵による女性暴行事件は、昨年末までに129件、147人に上る。「沈黙している」女性のことを考えると、実際はこの数字を超えるのは間違いない。

 米兵による事件・事故が起きるたびに、米軍は謝罪→綱紀粛正・再発防止→緩和→事件・事故再発-のパターンを繰り返している。

 米軍は2012年、沖縄本島中部で2人の海軍兵による女性暴行事件を受け、勤務時間外の行動の指針を示す「リバティー制度」を導入した。外出時間やアルコール規制を決めたものだ。

 14年に規制が緩和され、その後の1年に飲酒運転で逮捕される米兵らが約4割増加したのにもかかわらず、米軍は何の手も打たず、政府も放置した。怠慢というほかない。

 再発防止策がどう運用され、どのような結果が出ているのか。政府は米軍に定期的に具体的な数字を報告させ、それを県民に公表すべきだ。

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 軍隊の本質は暴力を積極的に肯定していることにある。性暴力は軍隊に内在する構造的暴力の表出であり、女性の人権と両立しないのである。

 1995年の米兵による暴行事件以来、「基地問題は人権問題である」と運動を主導してきた女性たちの間からは「もはや基地の全面撤去しかない」「米兵が基地の外に出るのを禁止すべきだ」などと怒りの声が上がる。

 米軍にさまざまな特権を与えている日米地位協定を改定し、沖縄の過重な基地負担を軽減しない限り、米兵による性暴力事件はなくならない。