本島中部の西海岸の一角。波打ち際にたたずむと、潮風が心地よい。晴れた日にきらきら輝く海面を眺めていると、反対側の国道のけん騒を忘れさせてくれる

▼61年前、ここに幼い女の子の遺体が捨てられたことなど想像もできない。米兵に暴行、殺害された幼女の遺体が見つかったこの付近は、当時米軍のごみ捨て場だった

▼事件後、立法院は本会議で「残虐極まりない凶悪な行為」「過去にも類似した幾多の事件が発生している」などとして軍事裁判の公開などを求める決議を可決した。各地で抗議集会が開かれ、事件を糾弾。犯人は死刑宣告を受けたが、米国移送後は減刑になった

▼「忘れられない事件」「まだ終わっていない」。以前取材した関係者は言葉少なに語ってくれた。基地から派生する事件・事故が起こるたび、この言葉を思い出す

▼那覇市内で起きた米兵による女性暴行事件で県議会は22日、被害者への謝罪と補償を求める抗議決議を可決した。前日の抗議集会でも基地撤去を求めた。米兵による事件のたびに、同じ構図が繰り返されている異常さに愕然(がくぜん)とする

▼米軍が言う綱紀粛正や再発防止の言葉は、もはやだれの心にも届かなくなった。命や人権が無残に奪われる暴力が横たわるかぎり、解決はないだろう。その現状を日米両政府、そして国民全体が直視すべきだ。(赤嶺由紀子)