名護市辺野古の新基地建設をめぐる代執行訴訟の和解成立を受け、政府と県は23日、

菅義偉官房長官、翁長雄志知事らの出席のもと、首相官邸で今後の協議の進め方などを話し合った。

 政府と県が合意した和解条項は、新たな裁判が提起され判決が確定するまで「円満解決に向けた協議を行う」とうたっている。

 だが、和解成立の当日に安倍晋三首相が「辺野古への移設が唯一の選択肢」と発言するなど、協議に臨む姿勢や和解条項の解釈をめぐって、早くも隔たりの大きさが表面化している。

 和解条項の実現に向け事務方による作業部会を設置することになったが、県は、国が設定した土俵に安易に上がってしまったとの印象がぬぐえない。

 作業部会には国側から定塚誠・法務省訟務局長らが、県側から安慶田光男副知事らが出席する。定塚局長は、行政代執行訴訟の国側代理人で、行政訴訟のエキスパート。和解条項の案文や和解受け入れに深く関わった当事者だ。

 しかも、和解を勧告した福岡高裁那覇支部の多見谷寿郎裁判長と定塚局長は、成田空港に隣接する農地の明け渡しを求めた「成田訴訟」を千葉地裁、東京高裁の裁判官として手がけた過去がある。

 多見谷氏が福岡高裁那覇支部に異動になったのは昨年10月30日のことである。

 和解条項には、翁長知事の「抵抗」を封じ込めることをねらったと思われる文章表現があり、作業部会ではその解釈が焦点になりそうだ。

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 和解条項の9項には、新たな訴訟の判決が確定した場合、「直ちに、同判決に従い、同主文及びそれを導く理由の趣旨に沿った手続きを実施する」ことをうたっている。

 この条項を国側に沿って解釈すると、県が敗訴した場合、翁長知事は抵抗の手段としての新たな訴訟や対抗措置をそぎ落とされる恐れがある。

 このほか今後の協議では、「米軍普天間飛行場の5年以内の運用停止」をどのように実現していくかが重要な焦点になる。

 政府と県の考えは、この点でも大きく隔たっている。県側は23日の協議で、普天間飛行場の2019年2月までの運用停止を求めたが、政府側は明確な回答を避けた。「辺野古移設が前提」だという政府の姿勢は変わっていない。

 だが、辺野古移設を前提にした「5年以内の運用停止」は非現実的で、実現不可能な考えである。

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 「5年以内の運用停止」について政府と県が実のある議論をするためには、「辺野古移設を前提としない」ということを議論の前提として確認することが大切だ。

 安保法制の審議が山場を迎えた昨年夏に、工事を中断して実施した集中協議は、安保法制を優先的に処理するための政治的思惑で設定されたもので、工事の一時中断以外、何一つ成果を生まなかった。

 今回も夏の県議選や参院選を意識した対応だといわれているが、一度ならず二度も県民感情をもてあそぶようなことがあってはならない。