私らしく、はたらく(21)吉戸三貴

 小さい頃から、これといった取りえがないのが悩みでした。運動は大の苦手で逆上がりもできないし(今もできないまま)、勉強もほどほど。リズム感がなくてピアノを諦め、プールや書道も頓挫。なんとか数年間続いたガールスカウトでも、褒められた記憶といえば「旗のあげ方が丁寧」だけだったからです。

 いろいろ試してはみるもののうまくいかず、小学校高学年になる頃には、勉強やスポーツが得意な同級生をうらやむばかりになっていました。

 でも、あるとき、懸命にトランペットを練習する友人を見てこう思ったのです。「何でも最初からできる人はいないはず。もう少し頑張ってみよう」。それが私のチャレンジ人生のはじまりでした。大げさですが、「できるかな、どうかな」と手探り状態で少しずつ前に進むうち、気が付けば、留学や5回の転職、起業をして今にいたります。

 足がすくみそうになることもありましたが、そんな時は二つの言葉を思い出して勇気を振り絞ってきました。

 一つは「恐怖は、遠くから見ている時が一番大きい」。あれこれと想像するのはやめて、思い切って飛び込んでみよう。そうすれば、あとは何とかするしかないという意味です。昔、那覇の書店で手にとった本に書いてありました。この言葉に背中を押されて、東京への進学や転職を決めたことを覚えています。

 もうひとつは「失敗した時のリスクを受け止められるなら、挑戦する価値がある」。経済の専門家のアドバイスだったと思います。たとえば転職を考えているとしましょう。それを実行することで起こりうるリスク(人間関係のストレス、年収の減少など)を洗い出し、それでもやってみたいと思うなら行動した方がよいという内容です。大きな決断をする時は、はじめに、起こりうる最悪の状況を想像するようにしています。

 挑戦は、明るく前向きな人にしかできないものではありません。私のように「あともうちょっとやってみよう」という気持ちで、のんびり少しずつ前進するタイプもいるのです。

 あれから30年。数えきれないほど失敗もしましたが、後悔したチャレンジは一つもありません。「やってみたい。でも、こわい」。そう感じたら、まずは小さな一歩から始めてみませんか。行動した先には、きっと、たくさんの出会いと発見、喜びが待っています。(コミュニケーションスタイリスト)