希少サンゴの保全を考えるならば、護岸工事をストップすべきだ。

 辺野古新基地の埋め立て地に生息する「オキナワハマサンゴ」(絶滅危惧2類)を巡り、防衛省沖縄防衛局は6月から国内で初めてという「環境維持対策」を実施する。

 県から特別採捕許可が出るまでの間、埋め立てのための護岸工事を進めながら、サンゴの上部を遮光ネットで囲んで水温の上昇を防いだり、護岸の外の海水をポンプで護岸内に送ったりするという。

 専門家から批判が上がっているように、この方法でサンゴの保全を図ることができるのかどうか疑問だ。

 サンゴ周辺の海水は循環しており、サンゴの上を遮光ネットで覆えば、水温の上昇を抑えることがほんとうにできるのかどうか。

 防衛局は、護岸工事がサンゴに影響を与えているかを確認するために、モニタリングを実施する計画だが、工事による水の濁りの影響がサンゴに及んだことが確認された場合には直ちに工事を中止。原因を精査した上で、石材の投入量を抑制する対策を講じるとしている。

 この実験的な手法では水の濁りの影響を受けたサンゴが致命的にならないか。

 そもそも今回の保全対策が有効かどうか事前に実験もしていない。いきなり実行に移すわけで、科学的根拠が乏しいのは当然である。

 サンゴに悪影響が出てからでは遅く、防衛局はこの手法をやめるべきだ。

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 環境監視等委員会は前知事が辺野古埋め立てを承認する際、工事中の環境保全対策のために設置するよう求めたものだ。防衛局に指導や助言をする機関である。

 だが委員会の現状をみると、本来の役目を果たしているとはいえず、工事を強行する防衛局に歩調を合わせているようにしかみえない。

 防衛局で開かれた委員会では、国内で初めてのサンゴ保全策であるにもかかわらず、委員らからは異論は出なかったという。

 防衛局の保全策を追認し、お墨付きを与えていることを委員らは真剣に受け止めるべきだ。

 防衛局の手法に疑義を唱える専門家らから意見を聴くことも必要である。

 護岸工事をストップすることを防衛局に進言する。それこそが委員会の本来の役割のはずである。

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 防衛局が強硬姿勢で護岸工事を急ぐのはなぜか。早く土砂を投入し、埋め立ての既成事実をつくりたいからだ。今秋の知事選をにらみ、もう後戻りできないというあきらめ感を醸成する狙いがある。

 今年2月、県が特別採捕許可後、生き物に捕食される「食害」が見つかり、不許可とした。防衛局は再申請。防衛局の保全策には具体的な捕食生物が示されておらず、移設先に存在しないとする説明には合理性がないと県が再考を求めたばかりだった。

 辺野古埋め立ての留意事項には工事中の環境保全対策などについて県と協議を行うことが明記されている。防衛局の対応は不誠実極まりない。