子どもの貧困対策の基礎データとして県が実施した「沖縄子ども調査」の概要がまとまった。

 1月に子どもの相対的貧困率を29・9%と推計したのに続き、見えにくいといわれる貧困の実態を探るものである。今回の調査で可視化されたのは「貧困の連鎖」だ。

 子どもの貧困が問題なのは、単にお金がないというだけでなく、不利な条件が蓄積され、それが大人の貧困となり、次世代に引き継がれることである。

 調査では、経済的に「大変苦しい」子ども時代を送った保護者が、現在の暮らしについても「大変苦しい」と感じている割合が高く、およそ2人に1人が食べ物や衣服を買えない困窮を経験していた。

 貧困を連鎖させる要因の一つに学歴が挙げられる。

 中2の保護者への質問で、大学教育を「経済的に受けさせられない」と回答したのは、父母が「大学・大学院卒」で5%前後だったのに対し、「中卒」では4割弱と跳ね上がった。

 学歴は収入に大きく影響することから、家庭の経済格差が子どもの進路選択を狭めていることがうかがえる。

 学歴は学力の問題だとし、個人の努力を問う声も聞かれるが、本当にそう言い切れるのか。

 貧困にあえぐ子どもの学習が遅れがちなのは、親に子どもの勉強を見る余裕がなかったり、家計を助けるためアルバイトで忙しかったり、頑張っても大学に行ける希望がない-など家庭環境に起因するさまざまな問題を抱えているからである。

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 貧困の連鎖につながる不利な条件の中に社会的孤立や排除がある。

 社会的ネットワークに関する保護者への設問で、貧困層では「地域の行事に子どもと一緒に参加していない」「子育ての悩みを相談できる友人がいない」割合の高さが目立った。

 仕事に追われ行事に参加する時間がとれない、友人との付き合いに必要な交際費を捻出できないなどの理由を想像してほしい。

 「親の孤立は、児童虐待などを引き起こすリスクをはらんでいるだけではなく、親が子育てに関する情報を収集したり、子どもが同年代の子どもと遊ぶ機会を少なくする。結果として、親も子も孤立するリスクが高くなる」(阿部彩著「子どもの貧困2」)と指摘されている。

 経済的貧困と同時に関係の貧困が広がっている現状を注視しなければならない。

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 県は4月から「子ども未来政策室」を設置し、貧困対策を強化する。

 貧困の連鎖を防止する取り組みでは、県外大学進学者への給付型奨学金が動きだし、無料学習塾が広がるなど教育への支援が目を引くが、貧困の連鎖は複数の要因が複雑に絡み合って起こっている。

 見過ごすことができないのは一人親世帯の貧困率が58・9%に上ることだ。その困窮度を考えれば家計への支援は重要で、県独自の一人親向け手当を創設するなど一歩踏み込んだ政策が求められる。