ベルギー・ブリュッセルの石畳の広場グランプラスに足を踏み入れた時、ライトアップされた壮麗なゴシック建築の建物の美しさに圧倒された。広場の真ん中に立ち、くるくると回りながら見ほれていた

 ▼24年前の3月、大学の卒業旅行でベルギーのブリュッセルやアントワープ、ブルージュを旅した。アントワープ大聖堂ではアニメ「フランダースの犬」の最終回で有名なルーベンスの「キリストの降架」を見た

 ▼先輩から借りた大きなリュックを背負った貧乏旅行。安宿探しに必死だった。ブリュッセルでユースホステル探しで迷っている時に声を掛けてくれたのは、スカーフをかぶったイスラム系の中年女性だった

 ▼高い芸術と文化で知られるベルギーが悲しみと怒り、そして恐怖に包まれている。ブリュッセルで起きた同時テロで24日までに31人が犠牲になり、日本人を含む200人以上が負傷した

 ▼文豪ビクトル・ユゴーが「世界で最も美しい広場」と絶賛し、多くの観光客が訪れるグランプラスも人けがないという。広場の近くでは市民が追悼集会を開き、冥福を祈った

 ▼グランプラスのすぐ近くに小便小僧の像がある。爆弾の導火線を小便で消して街を救った少年の伝説がある。報復は新たなテロの導火線にしかならない。憎しみの火を消す勇気と行動が求められている。(与那原良彦)