「何事も、疑ってかかれ!」。悲しいかな、常にそう意識して生きてきた。だまされることを想像しただけで我慢ならない。弱い人間だ。信じることをためらわない人に出会うと、その強さと純粋さに激しい嫉妬を覚える。

「名もなき野良犬の輪舞」の一場面

 人を信頼しないことで、闇社会でのし上がったヤクザ・ジェホの元へ、潜入捜査を命じられた刑事・ヒョンス。素性がバレたら即刻殺される危険な任務を、ひたむきに押し進める有能で純粋なヒョンスだったが、その純粋さゆえ自身が刑事であることをジェホに告白してしまう。それを機に、2人の距離は急激に近づき、兄弟のように支え合うのだが…。

 韓国社会のダークサイドを背景に、2人の男の絆を描いたこの物語はまさに、「信頼」という目に見えない概念に踊らされる男たちの哀愁に満ちあふれている。(桜坂劇場・下地久美子)

 ◇桜坂劇場で2日から上映予定