「親に暴行され、家にいたくない」「児童養護施設で暮らしたい」。小学校6年生からこう訴え続けた中学2年の男子生徒の叫びは、児童相談所(児相)には届かなかった。中学1年で自殺を図り入院、先月死亡した

 ▼相模原市で両親から虐待された生徒が自殺した問題は、セーフティーネットが機能しなかったことを示した。何度も児相に保護を求めた生徒。児相は両親に断られたため、一時保護をしなかったという

 ▼学校、警察、そして児相も虐待の事実を把握していた。亡くなった生徒に寄り添う大人が1人でもいれば、救われた命だった。家にも居場所がなく、駆け込んだ児相にも断られる。生徒の気持ちを思うと、やりきれない

 ▼県内で昨年起きた3歳児が虐待死する事件では、児相が一時保護を決めていたにもかかわらず、対応の遅れが指摘された。一時保護を決めたのは一カ月半も前のことだ

 ▼昨年の18歳未満の子どもへの虐待疑いは28%も増え、初めて3万人を超えた。厚労省は法改正して児相の体制や権限の強化を検討している。件数は今後も増えることが予測され、対応が急がれる

 ▼「反省している」「申し訳ない」。問題が起きてから、組織の関係者から決まって出る言葉だ。その場しのぎでは子どもは守れない。子どもの立場に立った迅速な対応が求められる。(玉寄興也)