562グラム。今春、沖縄県の浦添市立前田小学校を卒業し、浦添中学校に進学する伊波小凜(こりん)さん(12)はペットボトルほどの重さで生まれた。点滴、輸血、呼吸器で体がチューブだらけになり、血管手術を経て生後約4カ月後にやっと退院した。卒業式の朝、髪形が決まらず母親の真公子(まきこ)さん(39)とけんかをした。その夕方、「元気でいてくれるからけんかもできる。なんだかんだあるけど全部オッケイ!」と笑う真公子さんを見て思った。「そういえば生まれた時、大変だったんだよなあ」

成長をつづったアルバムや日記を手にする伊波小凜さん(右)と母親の真公子さん=23日、浦添市前田

体にチューブが着いた生後約1カ月当時の伊波小凜さん=2004年2月、沖縄市内の病院

成長をつづったアルバムや日記を手にする伊波小凜さん(右)と母親の真公子さん=23日、浦添市前田 体にチューブが着いた生後約1カ月当時の伊波小凜さん=2004年2月、沖縄市内の病院

 12年前の1月11日。小凜さんが生まれたその日から、真公子さんは日記を付け始めた。

 1月14日、初握手! ちいちゃくてやわらかいおてて。

 1月22日、手術、明日決定。ちょっとキツイかもしれないけど頑張って。

 1月31日、最後の点滴も取れる。やった~

 2月23日、もう少し大きくなったら呼吸器も取れるみたい。

 黒ずんだ皮膚の、あまりに小さな体。「小さくても強い子に」と祈る気持ちで小凜と名付けた。超低出生体重児。医師からは、1歳までは風邪をこじらせれば命に関わると言われた。5月28日に体重2520グラムで退院したが、小さな泣き声に気付いてあげられないかもしれないと思うと心配で眠れなかった。

 なかなかしゃべり始めず、同級生が走っている時にまだハイハイをしていたという小凜さんだが、今は体重37・3キロ、身長148センチ。「肉が好き! 給食ね、大根おろしがかかった和風ハンバーグが出るの」「揚げパンもいいな。砂糖が口に付かない食べ方知ってるよ」といい食べっぷりをみせる。

 空手のけいこで締める帯は2級の緑。生まれて間もなく、ダボダボになってしまうベビー用品の代わりに人形用のドレスを着ていたのも笑い話だ。

 卒業式を迎えた23日の朝。小凜さんは、髪を思い通りに巻いてくれない真公子さんに文句をぶつけた。不機嫌なまま出掛けたが、帰宅して思った。「大きくなったら何になるかまだ分からないけど…優しい人になりたい。すぐ怒っちゃうから」

 リビングには、小凜さんの病中日記をめくる真公子さんの姿があった。(浦添西原担当・平島夏実)