沖縄バイオ燃料事業推進協議会(委員長・安里昌利県経営者協会会長)が28日、那覇市内のホテルであり、来年度もガソリンにバイオエタノールを混合する「E3」などの普及事業を継続する方針を確認した。しかし、E3を製造・出荷してきた南西石油は4月以降、石油製品の販売から撤退を表明。E3調達のめどが立たず、給油所側も一般のガソリンに切り替えざるを得ない状況だ。事業を進める環境省は、同社に代わる製造元を確保したい考えだが、見通しは立っていない。5年間で約60億円を投じたプロジェクトは、暗礁に乗り上げるとの見方が広がっている。

E3販売数量とCO2排出削減量の推移

 会合では、これまで事業を受託してきた日伯エタノール(東京)が2015年度事業の実績などを説明。16年度事業の受託に向け、日伯は23日、環境省に事業内容の提案書を提出した。

 E3の調達先は「南西石油または同社の設備を使って供給する会社」とし、会社が決まり次第交渉する考えだ。しかし、めどが立たないまま、29日に入札・開札を迎える。

 出席者からは、4月以降のE3販売に懸念の声が挙がった。瑞穂石油の玉那覇美佐子会長は「差し迫った状況なのに、供給体制や販売価格など、何も見えていない。多くの給油所が困惑している」と指摘した。

 南西石油が販売から撤退する4月以降は、大手元売り会社が南西の施設を使ってガソリンなど石油製品を供給する動きがある。ただ、自社ブランドを持つ元売りが、E3製造を引き受けるとは限らない。日伯エタノールの関戸秀明企画部長は「確定的な情報が入れば一日も早く、E3製造に向け交渉したい。レギュラーガソリンと価格差が出ないよう努めていく」と述べた。

 環境省の担当者は「沖縄ではE3が認知され、利用者も増えており継続したい。今後の推移を見ながら、判断していくことになるだろう」としている。

■「販売したくてもできぬ」底付く在庫 スタンド困惑

 「環境に優しいガソリン」をうたい、県内に着々と根付いてきた「E3」の販売が危機に瀕(ひん)している。先進国の中でもバイオ燃料導入に遅れ気味の日本。沖縄で全国の先鞭(せんべん)をつける計画だったのが、南西石油の撤退でストップがかかった格好だ。E3導入中のガソリンスタンドは県内56カ所。在庫はどこも「2~3日しか持たない」(関係者)程度といい、早ければ4月初旬にも、E3が店頭から姿を消しかねない。

 「お客さまに申し訳ない気持ちでいっぱいだ。国や県も思うように動いてくれず、訴える先も分からない。歯がゆい」。県内5カ所の「ハローシーサー」でE3を販売中の、おきりゅうの前原政信代表は悔しさをにじませる。

 導入当初こそ「車に悪影響が出る」などの根も葉もないうわさに悩まされたが、産官を挙げた地道な取り組みで消費者の理解も進み、ようやく「E3を選んで給油に訪れる方が増えてきた」さなかだった。「E3を販売したくてもできず、レギュラーガソリンに替えなければならない。ここまで取り組んできたのは何だったのか」と肩を落とす。

 南西石油が石油販売をストップする4月1日まであと数日に迫っても、E3供給の見通しが何ら立たないことに悲鳴に似た声も挙がる。

 「なぜ放っておけるのだろう」。あるスタンド関係者は憤る。E3がないとなればレギュラーガソリンを仕入れることになるが、南西石油の撤退でどちらの価格の見通しも立たないまま。「現時点の価格で新年度の官公庁見積もりを出さざるを得ない。値上がり分の負担は、こちらでかぶるしかないのか」と心配は募るばかり。「今、何をどうしていいか分からない状況だ」。E3販売をうたう看板やユニフォームの撤去費用にも頭を悩ませていた。