私らしく、はたらく(22)吉戸三貴

 ガチャン! 紅茶のカップが音を立ててゆれました。カフェで話していた友人が、興奮してテーブルをたたいたのです。「ほんと、ひどいんだから!」。怒りの原因は、先輩が仕事を任せてくれないこと。毎日残業をして必死で働いているのに、重要な会議やプレゼンテーションに参加させてもらえないのだと言います。

 やりがいのある仕事がしたい。頑張りを認めてほしい。いつも一生懸命で真面目な彼女の悲しみといら立ちが伝わってきました。グチを聞いてあげるのは簡単ですが、それだけでは問題は解決しません。私は、どうすれば頑張りが伝わるのか、少しずつでも状況を変えていけるのかを一緒に考えようと提案しました。

 最初にしたのは、状況を客観視すること。もしかしたら、努力は認めつつも、役員やお客さまの前に出るのはまだ早いと思われているのかもしれません。「たしかに、先輩は社内でもプレゼンがうまいので有名。前任者から引き継ぐまで何年もかかって練習したんだって」と友人。厳しい審査をクリアしてお墨付きをもらった先輩の目から見ると、彼女はまだ合格ラインに到達していない可能性が高そうです。

 では、何がどのくらいできるようになるとOKをもらえるのでしょう。プレゼンテーションなら、提案力、論理性、説得力など、評価を獲得するためのポイントがいくつかあると思います。普段の様子を聞きながら探っていくと、企画書づくりはある程度任せてもらえるものの、発表となると一切チャンスをもらえないことがわかりました。

 「つまり、提案内容は認めているけど、説明は自分がした方がいいと思われているんじゃない?」と言うと、友人はうなずいています。話し方や服装が幼いと注意されたこともあり、このままではプレゼンを任せてもらうのは難しそうです。評価者である先輩に安心してもらえるように、これからは、論理的な話し方や、お客さまに安心感を与えられる服装を心がけてみようと話し合いました。

 先輩が彼女の変化に気付くまでには時間がかかるかもしれませんが、改善することで希望がかなう確率も上がると思います。不満を感じたら、現状を変えるために自分でできることがないか探してみませんか。取り組むことを決めて実行に移すだけでも、前向きな気持ちになれるはずです。(コミュニケーションスタイリスト)