那覇市が実施する埋蔵文化財調査で、調査後に刊行する調査報告書14件が、専門員の原稿執筆の遅れで未刊行だったことが分かった。城間幹子市長が30日の会見で発表した。最も古いものは1999年度刊行予定だった「『首里旧金城村跡』発掘調査報告書」で、2013年度まで約14年にわたり、未刊行が常態化していた。業者への印刷経費は14件で約2376万円。いずれも印刷物の納品がないにもかかわらず、預け金や前払いとして既に全額が支払われていた。

文化財課の不適切な事務処理について説明する市民文化部の島田聡子部長(中央)。右は城間幹子市長=30日午後、那覇市役所

 城間市長は「不適正な事務処理が判明した。市民の信頼を損ねたことを深くおわび申し上げる」と謝罪した。市は関係職員の処分を検討する。

 市によると、昨年12月、区画整理事業で別部署から資料として13年度刊行予定だった「『真嘉比・古島古墓群』発掘調査報告書」の提供を求められた際に未刊行が判明。担当部の調査で、1999年度から2014年度までの調査70件のうち、14件の未刊行を確認。1件あたり約300冊の印刷を予定していた。

 未刊行の実態を把握できなかった要因として市は、報告書の完了、業者からの受け取りまで専門員が行ったことを問題視、チェック体制に不備があったとしている。早期に14件の進捗(しんちょく)状況を確認して刊行する方針。新たな財政負担については「1件ごとに印刷業者と調整し財政負担が生じないよう検討する」とした。

 報告書の刊行は文化財課の埋蔵文化財グループが担当。市職員10人が所属し、うち専門員4人の執筆が遅れていた。担当部長らの聞き取りで、「内容を掘り下げるうちに時間がかかった。開発に伴う調査事業を優先させてしまい、執筆が遅れた」などと説明したという。

 文化行政関係者は「公金を扱う事業で年度内に刊行するのが大原則。年度を過ぎるなら繰り越しの手続きをするなど適正な対応が取れたはず」と指摘。一方で、「専門員が調査を掛け持ちするなどして執筆が遅れるのは各市町村で共通する課題」とした。