障がいを理由にした不当な差別を禁止し、「合理的配慮」を盛り込んだ障害者差別解消法が、きょう1日、施行された。

 学校や職場、街の商店まで広く関係する法律で、障がい者の期待は大きく、各地で施行を祝うパレードが繰り広げられている。障がいがあっても安心して暮らすことのできる共生社会の実現に向けて、合理的配慮を根付かせる契機としたい。

 法律による不当な差別的取り扱いの禁止は、国や地方自治体のほか民間企業にもおよぶ。合理的配慮については、公的機関に義務を、民間には努力義務を課している。

 2014年に批准した障害者権利条約の国内法整備として13年に成立した。条約の背景には、障がいは個人の心身機能の問題ではなく、社会的障壁によってつくり出されるという考え方があり、それに基づき、社会の中にあるバリアーを取り除くための合理的配慮の提供が規定された。 

 例えば車いす利用者であることを理由に飲食店への入店を断るのは不当な差別的取り扱いにあたる。建物のバリアフリー化はすぐには難しくても、携帯スロープの取り付けや、店員が車いすを持ち上げ入り口の段差を乗り越えることは可能で、これが合理的配慮の提供である。

 耳が不自由な人の求めに応じ筆談したり、目が不自由な人からの要請でメニューを読み上げるなど、障がい特性を理解し、サポートしたいという気持ちさえあれば、社会的障壁を取り除くことは難しいことではない。

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 気になるのは「負担が重すぎない範囲で」という合理的配慮に付けられたただし書きである。合理的配慮の線引きがあいまいなこととも重なり、勝手に負担が重いと思い込み、消極的対応に陥ることが懸念される。

 仮に負担が重いと判断した場合でも、理由を説明した上で別の解決策を探る努力が求められる。社会的障壁は解消されるべきものだという認識を社会全体で共有していくことが大切だ。

 3年前に成立したにもかかわらず、法の周知が進んでいないことも気にかかる。

 1月に全国の小中学校教員300人を対象に実施した民間の調査で、法律を「内容も含めて知っている」と答えたのは、わずか16%だった。

 障がい者差別をなくすと待ち望まれた法律である。国や地方自治体は、法の周知にもっと力を注いでほしい。

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 県内ではきょう、障がい者団体などの呼び掛けで、差別解消法の施行を祝うパレードが那覇市の国際通りで予定されている。

 パレードに参加する当事者らが中心となり2年前に制定されたのが「県障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会づくり条例」(共生社会条例)で、差別解消法を補完する役割も担っている。

 手話を言語と位置付け、教育現場での普及などを目指す県の手話言語条例も1日の施行だ。聴覚障がい者の要望に応じて手話を提供する合理的配慮にも積極的に取り組むべきだ。