株主総会を間近に控えるこの時期、民間企業の幹部人事が紙面をにぎわす。世の中の関心を集める人事は、新聞社にとって他社に先を越されてはならない“必須ネタ”でもある

▼東京・霞が関のキャリア官僚も通常国会終盤の今ごろが人事の季節。特に、米軍基地問題を担う沖縄防衛局長と外務省の沖縄担当大使の両ポストは、閣議決定前に情報入手し、1面を狙う勝負どころだ。いや、「勝負どころだった」と言うべきかもしれない

▼2日付の紙面を見て、いささか驚いた。13代目の新しい大使が決まったという記事は2面のベタ見出し。扱いは当日のほかの記事を含めて相対的に決まるので、一概には言えないが、それだけニュース価値が下がったとみていい

▼無理もない。何しろ県民にとって大使の顔が見えないからだ。定例の記者会見がなく、肉声を聞く機会はほぼない。かろうじて米軍の事件・事故の要請に応対する際、ちらっと映る程度

▼「見えない所で市町村長の要望を聞き、米側と折衝して汗をかいている」と話す外務省関係者もいた。そうであれば、そのことを県民に語ってほしい

▼批判にさらされ、マスコミから逃げ続けた前国税庁長官でさえ、辞任の時に取材に応じた。国を代表する在外公館の大使と並び特命全権が与えられた沖縄大使に雲隠れはふさわしくない。(西江昭吾)