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「友人に貸してるだけ」ヤミ民泊を認めない所有者 家族向けマンションに起きた異変

2018年6月15日 05:54

◆民泊奔流(3)異変

 豊見城市内、海が見渡せるファミリー向け分譲マンション。2年前に異変が始まった。オートロックの1階共有スペースに、旅行バッグの外国人家族連れ、駐車場には毎日レンタカー。揚げ句は、ベランダでのバーベキュー−。

那覇市の民泊規制条例の市民説明会。住民側やオーナー側から条例への賛否の意見が寄せられた=3月2日、那覇市保健所

 マンション1室が「ヤミ民泊」になっていた。管理会社には、住民が多数の苦情を寄せ始めた。

 「ドン、ドン」。午前0時すぎ、「ヤミ民泊」の階下に乱暴な足音が響いた。通報で駆け付けた警察官がチャイムを鳴らした。だが誰も出てこなかった。

 部屋の所有者は別のマンションに居住。管理会社社員が民泊は規約で禁止されていると通告した。所有者は「民泊ではなく、友人に貸している」と否定した。

 マンション住民らは管理組合で弁護士を雇い、対策に乗り出した。民泊を管轄する保健所に相談したが、事態は収まらず、「ヤミ民泊」運営は続いた。

 「今後は賃貸物件にする」。半年前、所有者が突然、管理組合に伝えてきた。最後まで「ヤミ民泊」とは認めなかった。組合は弁護士費用を請求したが、支払われる気配はない。

 15日施行の改正旅館業法。無許可営業の罰金は、3万から100万円に跳ね上がる。見越してか、先の管理会社の管理物件で複数あった「ヤミ民泊」はなくなった。担当者は「多くの住民が罰則強化を待ち望んでいる。ついのすみかとビジネスは相いれない」と話す。

 ■    ■

 民泊推進の政府と異なり、自治体は独自に規制を強化する。1日現在、保健所があり独自規制ができる全国150自治体中、52自治体が規制条例を制定済みだ。県と那覇市も含まれる。

 3月上旬、那覇市は市民向けに条例説明会を開催。市民側からは厳しい規制を求める声が上がった。一方、民泊オーナーは新法や県条例より厳しい規制を批判。しかし、「ヤミ」の規制では一致した。

 市議会は5月、全会一致で条例を可決。議会厚生経済常任委員会の平良識子委員長は、政府与党系市議の賛同を得られたことを「国と生活者の視点は違う」と説明する。「住宅密集地やマンションが多い那覇市内では、民泊の生活への影響は深刻になる。今後も市民の声を聞き議論したい」(特報・新崎哲史)

6月15日に、民泊の登録を義務付ける「民泊新法」、地域や営業日を規制する県、那覇市条例が一斉に施行される。民泊の今を追った。

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