2018年(平成30年) 6月23日

社説

社説[あす米朝首脳会談]冷戦に今こそ終止符を

 米朝首脳会談があす12日、シンガポールで開かれる。

 東アジアの平和と安定に大きな影響を及ぼす文字通り歴史的な会談が、いよいよ実現する。

 最大の焦点は「非核化」だが、「北朝鮮の非核化」なのか、「朝鮮半島の非核化」なのか。いつまでに、どのような手順で、非核化を進めるのか。米朝の溝は埋まっていない。

 北朝鮮は、国際社会の批判にさらされながら、なぜこれまで核・ミサイル開発を強行してきたのか。問題の淵源は朝鮮戦争にまでさかのぼる。

 連合国最高司令官のマッカーサーや米統合参謀本部は、朝鮮半島での核使用を検討していたことが専門家の研究で明らかになっている。米軍嘉手納基地の原爆搭載施設はいざというときに備え使用可能な状態にあったという。

 1953年1月に発足した米国のアイゼンハワー政権は、朝鮮戦争で急激に膨張した軍事費を抑えるため、休戦協定成立後、「ニュールック」と呼ばれる新たな戦略を打ち出した。

 地上兵力を削減する代わりに戦術核兵器を配備し、核抑止を拡大するという核重視の戦略である。

 韓国と沖縄では50年代半ばから、核兵器や核ミサイルの配備が相次いだ。

 とりわけ、米軍政下の沖縄はアジア最大の核基地となった。ピーク時の67年ごろには約1300発の核兵器が配備・貯蔵されていたという。

 北朝鮮が朝鮮戦争後も米軍の核の脅威にさらされ続けてきたことは否定できない。

■    ■

 北朝鮮の非核化をめぐる事前協議が難航していると伝えられる中で、急浮上しているのが朝鮮戦争の「終結宣言」である。

 朝鮮戦争は50年6月、北朝鮮の南進によって戦端が開かれ、53年7月の休戦協定で停戦が成立した。

 米朝が「終結宣言」に合意したとしても、そのことが直ちに国際法上の戦争の終了を意味するものではない。

 朝鮮戦争を正式に終わらせるためには、戦争に参戦した中国など当事国による平和協定の締結が必要だ。

 朝鮮戦争の「終結宣言」は、休戦協定締結後も敵対関係にあった米朝の信頼を醸成することにつながる。平和協定締結への具体的な一歩になるだろう。

 「非核化」と「戦争終結」は、メダルの裏表の関係にある。もし「非核化」と「戦争終結」を注意深く着実に進めることができれば、東アジアの冷戦構造に終止符を打つことも夢ではない。

■    ■

 両方を実現するための交渉は限りなく複雑で、時間がかからざるを得ない。

 米朝両国は、首脳会談の成功を演出するに違いない。だが、問題はその後である。

 両国の中に依然として不信感が根強く残っているだけに、ちょっとしたことで交渉が決裂する危険が常につきまとう。

 会談とその後の交渉を通じて、今も残る東アジアの冷戦構造を終わらせてほしい。沖縄のメディアとして切実に、そう願わずにはおれない。

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