森山未來、大植真太郎、平原慎太郎の3人のダンサーによる舞台「談ス」が3月29日、浦添市の国立劇場おきなわであった。しなやかな肉体から生み出される大胆な動きと、その合間に放り込まれる突拍子のない話。コンテンポラリーダンスでも演劇でもない、不思議な空間で観客を引き付けた。(学芸部・村井規儀)

スピード感ある3人の動きに観客は魅了された

舞台上のカメラで映し出された映像と登場人物3人の動きが重なり不思議な空間が広がった=国立劇場おきなわ

スピード感ある3人の動きに観客は魅了された 舞台上のカメラで映し出された映像と登場人物3人の動きが重なり不思議な空間が広がった=国立劇場おきなわ

 黒いシートに白線で円を引いた舞台と小型カメラ。カメラの映像は舞台上空のスクリーンに映し出されるつくりだ。

 一番先に現れた森山は何かにもだえて踏ん張る。平原は熱い風呂に入るパントマイムを演じつつ登場する。森山と平原が持つフィギュアが、並んでモニターに映し出されて、パフォーマンスが始まる。

 抱え上げ、受けとめ、のけぞり、転がり、絡み合いながら円を縁取る森山と平原。「1、2」と呼吸を合わせて1周、また1周と踊り続ける。テンポよく繰り返される動きに、観客の意識は舞台へと誘導される。

 大植はフィギュアではなくチョークを添える。2人の掛け合いに「3!」と割り込むが、タイミングが合わない。そのリズムのずれが面白く笑いが起きる。3人がそろい、より立体的でアクロバティックな動きへ進む。

 後半は混乱がさらに加速する。大量のチョークがばらまかれたステージを3人は飛び跳ね、転がり、森山は一心不乱にチョークでなにか描き続け、大植はパンツ一枚の姿になる。天井に移動した小型カメラは俯瞰(ふかん)図を映し続ける。

 ダンサーの呼吸が会場に響き、観客の笑いと感嘆も最高潮を迎える終盤は突然、息を潜めるほど緊迫した空気へと一転する。淡々とパフォーマンスを見せた3人は、互いに支え合い暗闇に溶けていく。

 スクリーンに目をやると、白い円で囲まれた舞台は真っ暗な宇宙に浮かぶ地球や月をイメージさせた。胸に届いたのは何か。観客一人一人と談じたくなる舞台だった。