「辺野古」と「中国」に関する数字に注目したい。今回の調査結果からうかがえるのは、沖縄が再び戦場になるのではないかという歴史体験に根ざした危機感、基地を押しつけられてきたことへの不公平感、米軍普天間飛行場の辺野古移設に対する強い反対の意思、である。

 県地域安全政策課は、昨年11月から12月にかけて実施した「地域安全保障に関する意識調査」の結果をまとめ、31日公表した。対象は15歳以上75歳未満の男女。

 日本が戦争を仕掛けられたり戦争に巻き込まれたりする危険について聞いたところ、「危険がある」(以下の数字はいずれも、どちらかといえば、を含む)との回答は一昨年の前回調査から大幅に増え、70・7%に達した。

 中国に対する印象については「よくない印象」が90・8%にのぼる。最悪の評価といっていい。

 中国の海洋進出と、それに対抗する安倍政権の中国封じ込め政策、両者のぶつかり合いが、県民に不安感を与えていることがうかがえる。

 ただし、米軍普天間飛行場を辺野古に移設する政府方針について賛成か反対かを聞いたところ、「反対」が58・2%だったのに対し、「賛成」は25・5%にとどまった。

 2010年代に入って、県民世論の反対の基調は変わっていない。政府の執拗(しつよう)なキャンぺーンにもかかわらず、多くの県民は「辺野古が唯一の選択肢」だという説明の欺瞞(ぎまん)性を見抜き、基地負担の不公平性・不平等性の解消を求めているのである。

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 沖縄の基地問題は本土の人に理解されていると思うか、との問いに対しては、「あまり理解されていない」と「まったく理解されていない」との回答があわせて82・9%にのぼった。

 政府・与党が82・9%という無理解を示す数字に謙虚に向き合わない限り、辺野古問題の解決はない。

 歴代の自民党政権の中には、戦争を体験し沖縄の痛みを肌で感じ取ることのできる大物政治家が少なくなかった。政権と県のパイプ役を保守の重鎮や沖縄と縁の深い財界人が担っていたのであるが、それがすっかり断たれ、力でねじ伏せる乱暴な権力行使が目立つようになった。

 代執行訴訟の和解勧告文の中で福岡高裁那覇支部は「沖縄を含めオールジャパンで最善の解決策を合意して米国に協力を求めるべきである」と指摘した。

 その線に沿った解決こそが沖縄の民意である。

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 中国に対する印象は悪化しているが、その一方で、日中関係が「重要」(どちらかというと、を含む)だと回答した人は59・8%。日中友好に沖縄が果たす役割を聞いたところ、52・5%が「友好を図ってほしい」と答えている。

 県民はいたって現実的で、健全だ。沖縄戦と米軍支配を体験し、現に尖閣諸島を抱えて戦場化の不安を抱く人々の現実感覚が、この調査結果に表れているともいえる。

 日中の関係改善を推し進める役割を担うのが、もっとも沖縄にふさわしい。