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「騒音を注意したらすごまれた」 カオスだった民泊、法施行で業界が変わる好機に

2018年6月16日 05:53

◆民泊奔流(4)課題

 「子どもが民泊の宿泊客に追い掛けられた」「騒音を注意したら、すごまれた」「部屋を間違えた民泊客が夜中に入ってきた」

田村浩彦さん

下地芳郎教授

田村浩彦さん 下地芳郎教授

 1日平均して1件以上。この2年、民泊に関して、那覇市に相談が寄せられた。冒頭のように、住民が身の危険を感じるほどの深刻な事例もあった。相談件数は、2016年に429件、17年450件。相談は氷山の一角とみられる。

 那覇市保健所生活衛生課は「苦情は観光地、住宅地問わず、市内全域から寄せられる」と指摘する。

 民泊運営代行業「one note」(那覇市)の田村浩彦営業統括部長は、民泊への新規参入が続いた背景をこう説明する。「物件があれば、だれでも始められる。法規制も機能せずカオスだった」

 今月15日以降、民泊新法や関連法施行、自治体条例で民泊営業に制限がかかる。民泊新法より県条例は厳しく、那覇市はさらに厳しい。

 営業日数では、民泊新法に基づく条件をクリアした登録民泊は、年間180日の営業が認められる。県条例は、住居専用地域で金曜正午から日曜の午後11時59分まで営業でき、休日を除く平日営業を禁じた。那覇市条例も金、土の2日のみを認め県条例より規制区域を拡大。年間の営業上限を110日に定めた。

 新法や条例による営業期間制限ではビジネスにはならないとして、制限のない旅館業法による許可を得ようとすれば、防火施設などで数百万から1千万円程度の投資が必要になる。同社には、民泊のオーナーが営業継続手法を尋ね、問い合わせが相次ぐ。

 田村部長は「投資回収が見込めないオーナーや、民泊に適さない物件も多い。那覇市の民泊は半分以上が撤退するのでは」と予測する。「ヤミ民泊が減れば、過当競争も落ち着く。法施行が業界が変わる好機として捉えたい」とする。

 ■     ■

 今後、民泊はどうなるのか。観光政策に詳しい琉球大学の下地芳郎教授は県や那覇市条例を「住民生活を優先したもの」と評価する。一方、スマートフォンを活用し、旅行する若者には民泊は選択肢として定着しているという。「宿泊施設のない地域で観光を活性化させるメリットがある。地域や住民にとって民泊が有益か、市町村単位で議論し、規制と推進のバランスを考える必要がある」とする。(特報・新崎哲史)=おわり

6月15日に、民泊の登録を義務付ける「民泊新法」、地域や営業日を規制する県、那覇市条例が一斉に施行される。民泊の今を追った。

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