-安全保障関連法が施行されたけど、何がどう変わるの?

安保関連法の施行に抗議しシュプレヒコールを上げる集会参加者=3月29日午後、那覇市泉崎・県民広場

 「憲法9条の下で、戦後、全ての政権が禁止してきた集団的自衛権を使うことができるようになったのが大きなポイントだよ。集団的自衛権は、日本と密接な関係にある国が攻撃されたとき、政府は『日本の存立が脅かされるか』を判断する。そこで『国民の権利が侵されるような明白な危険がある』となれば、日本が直接攻撃を受けなくても、他国と共同で武力を行えるようになったんだ。ただ、どんな時が日本の『存立危機』に当たるのか、実は判断基準はとてもあいまいなままなんだ」

 -反対の声はなかったの?

 「野党だけでなく、国民の間には今でも強い懸念の声がある。そもそも歴代政権は、集団的自衛権行使は憲法9条に違反するとして認めてこなかった。でも、安倍晋三首相は憲法の解釈を変え、自衛権行使ができると決めたんだ。戦後、日本が大切に守ってきた『専守防衛』という政策を大きく変えるもので、憲法学者の間でも憲法違反だとの批判があるよ」

 「安保法の制定や施行に反対して、国会前では連日、学生団体『SEALDs(シールズ)』などの若者や主婦たちも抗議行動をして、その動きは全国に広がった。それでも、安倍政権は国会で法案を強行採決して、3月29日に法を施行したんだ」

 -自衛隊が地球の裏側でも戦争できるようになるという不安の声も聞こえる。

 「そうなんだ。安保法で、自衛隊はほかの国の軍隊への後方支援をいつでもできるようにして、活動できる環境も広くなった。後方支援とは、戦争しているほかの国の軍に給油をしたり、弾薬などを提供して戦闘作戦を助けること。実際に自衛隊が戦闘に参加するわけではないけど、敵対する組織などから『他国軍と一体』とみられて、攻撃対象になる可能性もある」

 「もう一つ懸念されるのは2014年にできた特定秘密保護法により、軍事的な情報が今以上に出てこなくなるということ。日本の安全保障に関する情報で、特に秘密にする必要があるものは『特定秘密』に指定され、もし漏らしたら罰則などが科されるんだ。だから例えば、市民が近所で何の訓練をしているのか知りたくて情報公開をしても、真っ黒に塗られた資料が出てくる可能性があるんだ」

 -安倍政権は安保法の成立を急いだんだから、自衛隊の新しい任務はすぐに始まるのかな。

 「いや、そうでもないんだ。安保法では、国連や他国軍の兵士が武装集団などに襲われたときに助けに向かう『駆けつけ警護』という任務も可能にした。実際、今、陸上自衛隊は国連平和維持活動(PKO)で南スーダンへ隊員を派遣しているんだけど、安倍政権はすぐにはこの任務には就かせない方針なんだ」

 -なぜ?

 「安倍政権が心配しているのは、夏の参院選への影響だよ。いまだに安保法への反対意見が根強い中、目に見える形で運用が始まれば批判が強まって選挙に不利に働くとみてるんだ。民進党など主要野党は安保法を憲法違反だと主張していて、参院選で争点になるのは確実視されているよ」(政経部・大野亨恭)