所得の低いひとり親家庭に支給される児童扶養手当の増額を盛り込んだ「児童扶養手当法改正案」が、衆院厚生労働委員会で審議入りした。

 政府の子どもの貧困対策の目玉ともいえる法案で、相対的貧困率が5割を超えるなど、経済的に厳しいひとり親家庭への支援を強化するものだ。

 一定の所得以下の母子家庭や父子家庭を対象とする現行の児童扶養手当は、1人目が最大で月額4万2330円、2人目は5千円、3人目以降は3千円である。

 政府の改正案では、子どもが2人以上いる場合の支給額を増やし、2人目が1万円、3人目以降が6千円となっている。

 2人目の増額は実に36年ぶり、3人目以降は22年ぶりとなる。

 受給する世帯にとってはもちろんうれしいことだろうが、子どもの貧困が深刻さを増す中、国民の声に押され、やっと腰を上げた感がある。

 「2人目以降倍増」とはいっても、もとが低すぎただけに、十分な額でないのも明らかだ。

 2人目でも3人目でも、食費や教育費は同じようにかかるのに、なぜこれだけの差を設けているのか。法案審議に際し、納得できる説明を求めたい。

 政府は2015年度の補正予算で、低年金の高齢者へ1人当たり3万円を給付するため、約3600億円を計上した。一方、児童扶養手当の増額に必要な本年度予算は83億円である。 

■    ■

 児童扶養手当について民進党など野党も対案を提出している。

 野党案は2人目以降の支給額を一律1万円に拡充するほか、対象年齢を現行の18歳に達した年度末までから、20歳未満の学生に引き上げている。

 ひとり親家庭の子どもの大学や専門学校への進学率は4割ちょっとで、全世帯の7割に比べ著しく低い。見過ごしにできない問題である。

 2月に那覇市内で開かれたひとり親家庭支援員のための養成講座で、母子家庭で育った当事者が「高校時代は週5日アルバイトをし、大学進学の資金をためた」と語っていたことを思い出す。

 最もお金が必要な時期に手当がなくなり、進学を諦めたという人も少なくない。

 貧困の連鎖を断ち切るための進学でもあるのに、それが困難、あるいは選択できないという状況は、社会の仕組みの不備である。

■    ■

 野党案は、4カ月分をまとめて年3回支給する現在の方法を、毎月に改めることも盛り込んでいる。

 まとめ支給では月によって収入が大きく変わり、家計管理が難しいといわれているからだ。支給事務の課題などはあろうが、できないことではない。ぜひ前向きに検討してほしい。

 昨年3月時点で児童扶養手当を受給している世帯は約106万。ひとり親家庭の「命綱」ともいわれる手当のセーフティーネット機能をより強固なものにし、子どもたちの未来を明るく照らしたい。