ネットアンケートで待機児童を解消するための策として「保育士の待遇を改善してほしい」との意見が最も多く寄せられた。実際、保育士の働く実態はどうなのか。那覇市内の認可保育園で働く2人の保育士に話を聞くと、厳しい労働環境が浮かび上がった。(デジタル部・與那覇里子)

子供たちの昼寝の時間におたより帳を書く40代の保育士

 40代の保育士は、保護者からクレームがくるたびに辞めたいと思う。「虫に刺されただけで怒る保護者もいる。結局、私が子どもを見ていないという責任問題になるので、『すみません』と謝ってばかり。心の負担が大きく、気が休まらない」

 毎日、子どもにご飯を食べさせながら自分のご飯を食べ、約25人のクラスの子供たちをシャワーに入れ、昼寝の時間はおたより帳、日誌などの事務処理に追われる。保護者を傷つける書き方をしていないかどうかも全員で確認するほど気を遣う。

 30代の保育士は「休みが取りにくいことも辞める原因になっている」と指摘する。休日は主に土日で1カ月に6~7日あるが、行政や保育士協会の研修が入る。参加しても給与は出ないボランティアだ。那覇市によると、把握しているだけで年間約30件の研修があるという。各園から何人ずつと出席の要請があるため、「出ないわけにはいかない。家族との時間も削られる」と嘆く。代休や年休の取得も難しい。

 行事の多さも忙しさに拍車をかける。親子参加の行事だけで遠足、懇談会、保育参観、個人面談など多岐にわたり、運動会や発表会が迫れば、2カ月前から準備を始める。入場門や衣装も手作りで準備する。午後11時ごろまで残業が続くこともある。「業者に頼めばいいとの声もある。だけど、子どもと一緒に作ることや作っている姿を見せることが育てるということ。保育は教育です」と説明する。

 30代の保育士が給料明細を見せてくれた。基本給は約14万円。残業が多かった月で総支給額約18万円。社会保険料などが引かれ、手取りは約13万円だった。この給料が過去最高。通常の手取りは11万円前後だ。「これだけ働いてこの額って悲しい。コンビニでアルバイトしたほうが実入りはいいかもしれない」とつぶやいた。

 40代の保育士は勤続20年だが、残業が0時間だった月の手取りが9万円だったことがある。上司に「安すぎる。生活できない」と訴えた。辞めるのではないかと思った保育園側が、給与をわずかに上げた。「組合があったらいいのにと思う。でも、組合は立ち上がるのだろうか。横のつながりが強い世界で、組合が発足して、待遇改善を訴えたら目を付けられて、他の園で採用されないかもしれない」と吐露した。

 保育士不足を解決するためにはどうしたらいいのか。40代の保育士は「今、厳しい条件で働いている保育士を大事にすべきだ。資格がなくても保育士になれるという人を埋めるような対策をしても、実態を知れば、辞めるのではないか」と指摘。

 30代の保育士は「保育士の働く実態が社会に知られたことでなり手がいなくなると思う。ますます保育士不足に陥るのではないか」と危惧した。