これが「沖縄離れ」の予兆だとすれば、ことは重大だ。

 沖縄観光コンベンションビューローなどによると、県内ホテルの予約率は「5月全体ではそんなに悪くない」ものの、書き入れ時である大型連休(GW=ゴールデンウイーク)ピークの5月3、4日はかなり厳しいという。

 前年同期の予約率は10割を超え、一部では予約数が実際の客室数を上回る現象も起きたが、今年は3、4両日の予約率は5割台にとどまる。

 国内のツアー客が集まらず、旅行会社は複数回にわたってツアーの価格を引き下げたが、予約回復の兆しは見えない(1日付本紙)。

 2015年の観光客数は776万3千人で、過去最高を記録した。外国客は初の150万人台を記録し、国内客・外国客とも3年連続で過去最高を更新している。

 前年同期との落差はなぜ生じたのだろうか。

 前年同期のGWに比べ予約が約半数まで落ち込んでしまったのは、今回限りの一過性の要因によるものなのか、それとも、破竹の勢いで伸びてきた沖縄観光が、ここに来て「成長の壁」に突き当たったのか。

 低迷の要因として考えられるのは、宿泊料金の値上げに伴う格安感の喪失や、北海道新幹線の開通・大型テーマパークの新たなアトラクションの開業、激しさを増す国内競争への対応の弱さ、などである。当面の応急処置だけでなく、沖縄観光に構造的変化が生じ始めているのかどうかを見極めることも重要だ。

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 県観光政策課は、航空路線の拡充やクルーズ船の寄港回数増、世界のウチナーンチュ大会などが予定されていることから、沖縄観光は今年も「引き続き、好調に推移する」と見込んでいる。その基調が急激に変化するとは思えないが、楽観は禁物だ。

 15年の観光客数増加に大きく寄与したのは外国人観光客の大幅な増加である。外国客の増加率に比べ国内客の増加率は低く、国内客の伸びは鈍化傾向にあった。

 外国客の増加を見込んで県内のホテルが宿泊料金を引き上げたため、格安感のあった沖縄旅行が、国内の他の観光地に比べ「高い」との印象をもたれた、とも考えられる。

 これまで宿泊料金が低く抑えられてきたことを思えば、「収支に合う料金」への引き上げを責めることはできない。問題は、それに見合った質の向上と地域の魅力の発信が図られているか、という点である。

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 沖縄公共政策研究所(安里繁信理事長)が実施した観光シンポジウムで、小西美術工藝社社長のデービッド・アトキンソンさんは「首里城は空っぽ。冷凍保存状態で、何の楽しみもなく、観光とは言えない」と痛烈に皮肉った。

 これからの観光はどうあるべきかを考える上で示唆的な発言だ。団体から個人へ。それぞれの嗜好(しこう)にあわせた質の高いサービスが求められるようになった。

 変化への対応に失敗すれば、沖縄観光の割高感が定着し、国内客の「沖縄離れ」が進みかねない。要注意である。