沖縄県名護市辺野古の周辺海域に立ち入ったとして芥川賞作家の目取真俊さん(55)が1日、米軍警備員に拘束された。国と県の代執行訴訟和解後に、米軍警備員らに拘束されたのは目取真さんを含めて2人。海上保安庁はこれまで拘束後に釈放する「不逮捕」の方針で海上警備にあたっていたが、工事が中断したことで海保の警備体制が縮小し、住民と米軍が直接対峙(たいじ)。今後も米側の「拘束」が連発される可能性が出てきた。

逮捕された時の状況を説明する芥川賞作家の目取真俊さん=2日午後7時32分、沖縄市の中城海上保安部前

 目取真さんは弁護人と接見もできず8時間、米軍側に拘束された。拘束された場所は陸とも海とも判断できる浅瀬。陸上を管轄する警察と、海上を管轄する海上保安庁が身柄の引受先を協議したが、著名な作家だったことから、調整は上部の官庁間にまで及んだ。

 捜査関係者は「メンバーは海から陸向けに侵入しており、海保の管轄。海保は市民の逮捕経験がなく、『県警で身柄を』と訴えたが、一度引き受けると次も県警が担わないといけなくなる」と明かす。

 海保側は海上で抗議する市民に対し、拘束した後に釈放する「不逮捕」の方針を取ってきた。市民側は「工事が中断した隙に米軍が強行姿勢になり、陸上や海上の警備も強化されるのでは」と不安視する。

■米軍「拘束」連発の可能性

 第11管区海上保安本部の幹部は「海保の使命は逮捕ではなく、市民を危険にさらさず、けが人を出さないこと。今回(逮捕)と同じことはしない」と断言する。

 しかし米軍側が基地内に入ったと判断し、市民の身柄を拘束した場合、県警や海保は刑事特別法により逮捕・送検するのが通例だ。海保の海上警備が退き、市民と米軍が向き合えば「拘束・逮捕」が連発する可能性もある。

 今回、目取真さんは弁護士との接見を求めたが米側は認めず、銃を持った軍関係者を前に長時間、拘束された。拘束者の心身に与える影響も大きい。

 沖縄弁護士会の新垣勉弁護士は「関係者の事情聴取や監視カメラの分析などがあり、取り調べの長短は事案によって異なる」とし、基地内での事件処理は米軍側の裁量に任されていると指摘した。(社会部・新崎哲史、山城響)