毎日言葉を使用して暮らしているはずなのに、伝えたいことすら、上手に伝えられない。言葉を自在に操ることができれば、他人の心を動かすことだってできるのに。

パティ・ケイク$

 スクリーンから聞こえるパティ・ケイク$のラップに、心を動かされ、両手を上げて大声で叫びたくなるのはなぜか。クソみたいな人生を呪い、それでも自分はいい女だと言い聞かせる太っちょ女ラッパーが、魂の言葉を人生ごと投げつけてくるから。

 酒浸りの母と病気の祖母。家を出た父親。不満が増幅するほど大きくなる体。太れば太るほど痛みと怒りが深くなる。それでも、不死鳥のようによみがえり、世の中と自分にラップで愛のムチを打つ。

 実際には弱気でダメダメな主人公が、家族や友人を愛し、愛され、言葉を武器に突き進む姿は、爽快で軽快で、映画全体が超クールなフロウ!(桜坂劇場・下地久美子)

 ◇桜坂劇場で17日から上映予定