百花繚乱(りょうらん)と形容しても決して大げさではないだろう。那覇市のリブロ・リウボウブックセンター店で始まった第20回県産本フェアには「おもろさうし」の解説本や絵本、沖縄料理、空手の本など多彩な約1200点がそろった

▼毎年楽しみにしてきた一人の県産本ファンとして、まずは「成人おめでとうございます」。初回開催時、会場に多くの本好きが集まったことを覚えている。翌年の沖縄サミットに向け「他県の捜査員に」と歴史書を買い込んでいた県警の捜査員もいた

▼取り上げられるテーマの広がり、出版社と刊行点数の多さから「出版王国」といわれてきた沖縄だが、もともと出版が盛んだったわけではない

▼戦災に加え、終戦直後は軍布告で事前許可のない出版が制限されていたからだ。民間発行の単行本第1号とされる沖縄戦記「鉄の暴風」(1950年、沖縄タイムス社)も軍政長官の許可を得るため、事前に英訳されていた

▼豊かな出版文化が花開いた背景には、独自の歴史や文化を知りたいけれど、本土大手出版社の本では物足りないというニーズがある。5千円もする「県史 各論編6沖縄戦」が増刷されたのも、その好例だろう

▼読者の興味、関心のありかを探りながら奮闘してきた沖縄の出版人に敬意を表しつつ、個性的な書籍を手に取ってほしい。フェアは7月4日まで。(玉城淳)