数の横暴というほかない。

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備法案が衆院内閣委員会で、野党の反対を押し切って、自民、公明両党と日本維新の会の賛成多数で可決された。

 IR法案は全251条に及ぶ大型法案だ。200条を超える新規立法は1997年に成立した介護保険法以来である。野党側が介護保険法と同じ約50時間の委員会審議を求めたのは当然だ。

 だが、与党は「十分審議した」として約18時間で打ち切り、採決を強行した。あまりにも乱暴なやり方である。

 IR法案は、カジノを刑法の賭博罪の適用対象から除外し、解禁するものだ。カジノや国際会議場、ホテルなどを一体化して全国で最大3カ所を整備。7年経過後に増設するかを検討するとしている。

 ギャンブル依存症対策として、日本人客のカジノ入場は週3回、月10回までとし、入場料は6千円-などを盛り込んでいる。しかし年間120日まで入場でき、入場料6千円が抑止力につながるのかどうか、疑問である。

 客を依存症や多重債務者に追い込みかねないカジノ事業者による貸し付けや、カジノ面積に関する上限が明記されていない。さらに国会審議の必要がなく政令などで決められる項目が300以上もある。制度の中身がみえず、規制が緩くなるのではないかとの懸念が拭えない。

 共同通信社の3月の世論調査でカジノ解禁に反対が65%を占める。なぜ、カジノなのか。根本的な議論が必要だ。

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 ギャンブル依存症は精神疾患である。厚生労働省が2017年度にまとめた調査によると、生涯で依存症経験が疑われる人は推計で3・6%、約320万人に上る。パチンコなど身近にギャンブルの環境があることが影響しているとみられ、カジノが輪をかけるのは容易に想像できる。

 政府はIRによる観光立国をうたう。しかし誘致自治体などは客の7~8割は日本人と推計している。政府は外国人客による経済効果を強調するが、不確定要素が多いとして数値を示していない。

 訪日外国人は過去6年間で4・6倍と右肩上がりに増えている。ほんとうにIRが必要なのだろうか。

 国や自治体に既存ギャンブルの依存症対策を推進する基本計画を策定し、当事者支援を義務付けるギャンブル依存症対策基本法案が今国会で成立する見通しだ。その効果をみるのが先決だろう。

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 国会の会期末が迫り、与党の強引な国会運営が目立つ。

 長時間労働を助長する恐れが消えない「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」を含む働き方改革関連法案も衆院厚労委で採決強行した。

 自民党は参院選挙制度改革を巡る与野党協議を一方的に打ち切った。参院選の「1票の格差」是正に向け、定数を6増する公職選挙法改正案も成立させたい考えだ。自民党の「党利党略」としかいえない改正案である。

 議論が足りないまま数の力で法案を押し通せば、国会は存在意義を失う。会期を大幅延長し、徹底議論を求める。