名護市辺野古の新基地建設問題が、重大な局面を迎えている。

 政府は、埋め立て海域への土砂投入を8月中旬に実施する方針を明らかにした。

 海を埋め立てると、元の状態に戻すのは難しい。目の前で土砂が投入されていくのを見れば、「もう後戻りはできない」と、あきらめの感情が広がるおそれがある。

 それが政府の狙いであることはあきらかだ。

 沖縄の未来を大きく左右する重大な問題であるにもかかわらず、県民の間には焦りや疲労感、閉塞(へいそく)感が漂っている。 県がサンゴ保全などの疑問点を指摘し、時に工事中止の行政指導を行っても、政府はこれまで、「問題ない」の一点張りだった。

 翁長雄志知事がいつ埋め立て承認を撤回するかに関心が集まっているのは、当然の成り行きである。撤回は、知事に残された最も強力な法的権限だ。

 ここにきて県は埋め立て承認撤回に向けた緊急的な措置として工事の中止命令を出すことも検討しているという。

 環境保全に関わる疑問点は次から次に浮上している。工事を中止し、サンゴやジュゴンなどの現況調査を実施することがどうしても必要だ。

 環境保全に向けた県民ぐるみの取り組みを早急に作り出し、辺野古問題をあらためて政治焦点化することを提起したい。

 県まかせにせずに、幅広い声を吸い上げ、「工事中止」を島ぐるみの要求として政府に突きつけていく。そのうねりをつくり出せるかどうかが、分かれ道になる。

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 公有水面埋立法は、埋め立て工事にあたって、環境保全や災害防止に十分配慮するよう求めている。前知事が、埋め立て承認の条件として留意事項を付したのは、そのためである。県は留意事項違反がないかどうか、具体例に基づいて、早急に見解をまとめるべきである。

 沖縄防衛局が設置した「環境監視等委員会」は留意事項に基づいて設置したものだが、副委員長だった東清二琉大名誉教授は、この委員会では環境は守れない、として辞任した。他の2人の委員も辞めている。

 県に委員会をチェックする機能がなければ委員会は、政府の強引な工事の隠れみのになりかねない。議事録の全面公開など、委員会そのものの検証が求められている。

 留意事項はジュゴン保護についても「万全を期すこと」を求めている。「個体C」と名付けられたジュゴンは着工後、大浦湾周辺に姿を見せず、行方不明のままだ。

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 サンゴ保全についても、移植の効果などを巡って政府と県の解釈の違いが表面化している。強引な進め方で果たしてサンゴ保全ができるのか、大いに疑問である。

 県は、辺野古・大浦湾海域を「厳正な自然保護を図る区域」と位置づけ、自然環境保全指針の「ランク1」と評価した。基地建設を許してしまえば、県民は取り返しのつかない大きな禍根を残すことになるだろう。私たちはその瀬戸際に立たされている。