「みにくいアヒルの子」は「白鳥」になったのか、それとも「カモ」か-。もちろん、デンマークの作家アンデルセンの童話のことではない

 ▼この4月で施行30年を迎えた男女雇用機会均等法をめぐる話である。いわれは誕生したときの批判からさかのぼる

 ▼均等法が働く女性にとって歴史的転換点になったのは確かだが、生みの親である元労働省婦人局長の赤松良子さんでさえ、当初は「みにくいアヒルの子」と表現したらしい。もっとも法改正をへて「白鳥」になったと考えている

 ▼これに対し、新自由主義の「カモになった」と批判しているのが上野千鶴子東京大名誉教授だ。均等法元年にあたる1986年入社の総合職の8割が辞めていたという調査結果からみても、うなずける

 ▼均等法の第1世代からすれば、名前の通り雇用の機会は男女平等になったが、それ以上でもそれ以下でもないということだろう。30年たてば「みにくいアヒルの子」でなくても現実にそぐわなくもなる。非正規の拡大に同一労働同一賃金や長時間労働の問題…

 ▼今月は大企業に女性登用などを促す女性活躍推進法も施行された。多くの問題を置き去りにしたままで、ネーミングからして既にうさんくさい。働くすべての女性にとって地に足のついた実のある制度がほしい。「白鳥」になれるように。(与那嶺一枝)