私らしく、はたらく(24) 吉戸三貴

 目の前にそびえたつ高い壁。たたいてもビクともせず、登ろうにもツルツル滑って思うようにいかない。仕事で難題に直面すると、そんな風に感じることがあります。猪突(ちょとつ)猛進タイプの上司には「とにかく気合でどうにかしろ!」とハッパをかけられたこともありました。でも、沖縄や東京でいろいろな経験をし40代になって思うのは、正面突破だけが解決策ではなく、前に進む方法はいくつもあるということです。

 たとえば、「休息をとる」こと。「いきなり怠けるの?」と不思議に思われそうですが、少し離れて状況を見つめ直したり、立ち止まって戦略を練り直したりすることで、解決につながるヒントが見つかることがあります。私自身、ターニングポイントは、休職して学生に戻った期間や体調を崩して働けなかった時期など、動き続けることを一休みした時が多いと感じています。

 1人で乗り越えるのが難しそうなら、素直に相談して「助けを借りる」のはどうでしょう。単に甘えるということではなく、ここまで頑張ってみたものの、最後のここがうまくいかないので助言がほしいというように、範囲を限定しつつ適任者にアドバイスをお願いするのです。普段から周囲への協力を惜しまない姿勢でいると、いざという時に助けてもらいやすくなります。

 「違う方向に進む」のも一つの方法です。皆が我慢しているから、仕事とはこういうものだからと決めつけずに、別の選択肢に目を向けてみるのです。努力は大切ですが、頑張りすぎて心身のコンディションを崩してしまっては元も子もありません。どうしても無理だ、このまま立ち向かっていたら壊れてしまう。そう感じたら、壁に背を向けることも勇気かもしれません。

 勇者が仲間を集めて旅をするゲームにも、「たたかう」や「じゅもん」の他に、「にげる」というコマンドがあります。仕事で難題に出合ってしまったら、できるだけ自由な発想でクリアする方法を考えてみませんか。今日倒せない敵がいれば、経験を積んでレベルをあげて、また挑戦すればよいのです。焦らず、決めつけすぎず、自分のペースで前に進みましょう。壁の向こう側や反対側の道には、あなたが思っている以上に、たくさんの可能性と素晴らしい結末が待っていると思います。(コミュニケーションスタイリスト)