説明責任を果たす真摯(しんし)な姿勢からは程遠い。

 学校法人「加計学園」の加計孝太郎理事長が岡山市の学園本部で記者会見した。

 愛媛県今治市での獣医学部新設を巡り、「加計ありき」ではないかとの疑惑が浮上してから1年余り。本人が初めて会見に応じた。

 加計氏は、愛媛県文書に記載された2015年2月の安倍晋三首相との面会について「記憶にも記録にもない」と否定した。学園側が県に虚偽の情報を伝えたとして謝罪。事務局長を減給、自身の指示は否定し、監督責任者として一部自主返納を発表した。

 愛媛県が国会の求めに応じて提出した文書には、加計氏が安倍首相と約15分面談。加計氏が「今治市に設置予定の獣医学部では、国際水準の獣医学教育を目指す」などと説明したのに対し、安倍首相は「そういう新しい獣医大学の考えはいいね」とコメントしたとある。

 加計氏の否定は「物証」に基づく反証でなく記憶や記録がないというだけだ。どれだけの人が納得するだろうか。

 加計学園の学部新設計画を知ったのは17年1月だと答弁している安倍首相に合わせるためではないのか。

 首相面会を捏造(ねつぞう)していたのなら重大な問題だ。

 整備費の半額に当たる約93億円のうち県が約31億円、今治市が約62億円を負担。市は36億7500万円で取得した土地も無償譲渡。巨額の公費を支出することになっているからだ。獣医学部認可の正当性にも疑問符が付く。

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 加計氏は安倍首相との面会を否定したが、愛媛県文書にある別の記述とつじつまが合わない。

 文書には安倍首相との面会以前に作成された部分に「理事長が総理と面談する動きもある」と記載されている。首相のコメントに続き「柳瀬唯夫首相秘書官(当時)から、改めて資料を提出するよう指示があった」と記され、実際に約1カ月後の15年3月、柳瀬氏と事務局長らが首相官邸で協議している。文書を見る限り、首相面会をきっかけに獣医学部新設への動きが一気に加速しているのである。

 加計氏はなぜ、突然、記者会見をしたのか。しかも地元記者クラブに限り、連絡はわずか2時間前、時間は30分足らずである。

 国会の会期末のタイミングや大阪府北部地震の混乱の中で幕引きを図ろうとしたのではと疑われても仕方がない。

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 国会は会期末の20日、来月22日まで延長することを与党の賛成多数で決めた。

 与党は、働き方改革関連法案やカジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備法案、参院選挙制度改革を盛り込んだ公職選挙法改正案の成立を念頭に置くが、国民の反対や問題含みの法案ばかりだ。

 加計氏の国会招致は自民党の反対でこれまで実現してこなかったが、本人は「私が決めることではない。お待ちしております」と会見で国会に委ねる考えを示した。

 むしろ急がなければならないのは、国会の大幅延長に合わせ、疑惑解明のための証人喚問である。