高齢化社会の到来で増加している不整脈があるのをご存じでしょうか。著名人が脳卒中を発症したことで、一般に認知されるようになった心房細動という疾患です。加齢とともに有病率が上昇し、10年後には患者数が100万人を突破すると予想されます。

心臓(イラスト・いらすとや)

 心房細動は加齢や生活習慣(高血圧、飲酒、肥満)の影響で、誰にでも発症し脳梗塞のリスクが5倍に増加します。症状は動悸(どうき)、胸部不快感などですが、40%は無症候性です。健診の心電図でたまたま発見されるケースや、脳梗塞を合併して後に診断されることも珍しくありません。特徴として脈の乱れが強いため、早期発見には、発作の多い起床時や就寝前に脈を取る習慣をつけ、家庭血圧計で脈の変化に気を配ることをお勧めします。

 発作が一定期間持続すると心臓内(左心耳)で血栓を形成します。血栓がはがれて血流に乗り、脳の血管を詰めれば脳梗塞を発症します。これを心原性脳塞栓(そくせん)症といい脳梗塞全体の3分の1を占め、死亡や寝たきりなど重症化しやすい病型です。梗塞発症後6時間以内であれば、血栓溶解療法により梗塞サイズを小さくすることが可能ですが、運よく治療を受けられるのはほんの一部です。従って心房細動を発症したら、リスクに応じて血栓予防をすることが重要になります。

 長い間、血栓予防の治療にはワーファリンという薬剤のみが使われてきました。ワーファリンは実績がありますが、欠点として食事制限(納豆)、薬剤間の相互作用や体調により効果にバラツキが大きく、頻回に血液検査をし用量を調整する必要があります。7年前に登場した新規経口抗凝固薬は食事、薬剤との相互作用が少なく同一用量でシンプルに治療できるため、かかりつけ医での治療も浸透してきました。ワーファリンと同等以上の効果で出血の合併症が少ないのもメリットです。

 血栓予防と並んで、根治療法であるカテーテルアブレーションの進歩もめざましく、早期診断により今後多くの方が新しい治療の恩恵を受けられることが期待されます。(宮城淳 みやぎ内科循環器科 ファミリークリニック)