歌手さだまさしさんの「関白宣言」がヒットしたのは1979年。飯はうまく作れ、いつもきれいでいろ、黙って俺についてこい。愛する女性に向けられた歌詞は、男性上位の「昭和」の薫りに包まれる

▼そんな時代も今は昔。88年から10年ごとにサラリーマン世帯を調べている博報堂生活総合研究所(東京)によると、今年、家庭内の決定権を持つのが「夫」と答えたのは38・7%で過去最低。対する「妻」は30・3%で過去最高となった

▼これまでで数字が最も接近し、妻が30代以下の夫婦では初めて妻が夫を上回った。88年は「夫」72・4%、「妻」10・1%。調査を重ねるたびに妻は上げ潮、夫は凋落(ちょうらく)の一途をたどる

▼30年間で家庭を取り巻く環境は劇的に変わった。共働き世帯が増え、男性が外で仕事に励み、女性は「家内」として支える家族観はもはや主流ではない

▼子育てもしかり。夫がするのは当たり前。「手伝う」のではなく、妻と「対等にいそしむ」姿勢が求められる。専業主婦にしても「楽をしている」というより、子育てや家事を休みなしでこなす“無償労働”の功労者という見方が浸透した

▼「関白宣言」にはこんな歌詞もある。〈幸福は二人で育てるもので、どちらかが苦労して繕うものではないはず〉。おっしゃる通り。問われるのは思いやりと実行力だ。(西江昭吾)